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家賃滞納「2千件」の現場を見た太田垣章子司法書士  「誰もが紙一重」15年間、寄り添い続ける理由

以下記事転載

headlines.yahoo.co.jp

 

家賃滞納「2千件」の現場を見た司法書士  「誰もが紙一重」15年間、寄り添い続ける理由

5/7(月) 7:00配信

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 空き家や空き部屋の増加で借りやすくなった賃貸住宅ですが、滞納も増えています。無国籍の子ども、貧困ビジネス、親子関係の断絶――。極貧生活を経験した後に司法書士に転じた太田垣章子さんは、家賃滞納者のべ2千人以上と交渉してきました。ときに滞納者と伴走することで見えてきたのは、貧困化する日本社会の縮図でした。(朝日新聞文化くらし報道部記者・田渕紫織)

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時間がかかり、感謝もほぼない

 ――なぜ、家賃滞納を専門にしているのですか。

 「プロ野球オリックスブルーウェーブの球団広報をした後、結婚して専業主婦に。子どもを産んでから半年で離婚を経験しました。離婚裁判時の担当弁護士にすすめられて、司法書士を目指しましたが、落ち続けました」


 ――子育てをしながら勉強を?

 「ネズミの鳴くアパートでシングルマザーとして極貧生活を送りながら、6年間勉強した末に合格しました」


 ――その後、家賃滞納を専門に活動されるわけですね。

 「資格を取っても、王道の土地登記の仕事は全然とれない。時間がかかり、感謝されることもほぼないために多くの司法書士がやりたがらない家賃滞納の分野を専門に、現場に足を運んで交渉するスタイルに至りました」

判決が出ても、支払わない場合は……

 ――家賃滞納の現場での仕事とは、どんなものですか

 「大家、管理会社などから委任を受け、滞納者にまず、契約解除の内容証明を打って支払いを促します。その後、明け渡しや滞納分家賃支払いを求める訴訟を裁判所に申し立てます」


 ――裁判まではどのようなことを?

 「裁判の期日(平均で1カ月半ほど先)が決まったら、それまでの間に電話をしたり足を運んだりして、退去と支払いの交渉をします」


 ――判決後も支払ってくれない場合は?

 「半数の人が期日までに応じてくれますが、そうでない場合は、判決が出た後も、交渉を続けます。それでも出て行ってくれなかったり、そもそも夜逃げしたりしていた場合は、裁判所の執行官の立ち会いのもと、鍵を壊して入る『強制執行』を申し立てますが、そこまで行くケースはほとんどありません」

優先順位が低くなる理由

 ――滞納者の背景にはどのような事情があるのでしょう。

 「多額の滞納があった場合、他に借金を抱えていることがほとんど。失業や仕事の激減で生活が足らなくなり、消費者金融に借りていることが多いです」


 ――そうすると支払いは遠のく?

 「一括で滞納額の支払いがあっても、経験上、その多くは消費者金融などから借りたお金です。すると以降はそちらの返済もしなければいけないので、また家賃の滞納が始まる悪循環に陥ります」


 ――ほかの出費と家賃との違いは?

 「携帯電話、電気、ガス代は支払わないと止められますし、消費者金融も厳しい督促があるので、必然的に家賃の優先順位は低くなります」

15年続けて見えたもの

 ――15年間続けていて、近年の傾向は?

 「家族関係が切れているケースが多いと感じます。親が滞納した場合、子に連絡しても『何年も前に縁を切ってるから』と言われる。逆もしかり。100人いれば99人の親はこんな感じです」


 ――背景には何があるのでしょう。

 「きょうだいになると連絡自体を嫌がられることも多く、ほとんど他人ではと思ってしまうほど。日本全体が貧困化し、余裕がないということも背景にはあると思います」


 ――滞納者がひきこもり当事者であるケースも多いそうですね。

 「増えています。中に誰もおらず、夜逃げしたのかな?と思って強制執行で扉を開けると、中にひきこもっている人がいたという経験がこれまで何件もあります。高齢の母と中高年のひきこもりの息子が滞納していたケースもありました」

過酷な現場から学んだ家賃の「目安」

 ――身の丈に合わない家賃のところに住む人が増えたのも家賃滞納を引き起こしているのでしょうか?

 「昔は『家賃は手取り収入の3分の1以下が目安』と言われていましたが、今は4分の1以下じゃないと成り立たないんじゃないでしょうか。スマホ代は高いし、コンビニもこんなにあってお金を使ってしまう」


 ――大家側の事情も変わってきているのでしょうか?

 「空室物件の数も増えて、貸したい大家さん側はハードルも下げざるをえません。昔は親が連帯保証人にならないと親元を出られなかったのに、必ずしも連帯保証人がいなくても借りられるようになった。緊急連絡先の父に電話したら『娘は家出を繰り返すので、部屋を貸さないで』と言われたこともあります」

滞納者が言いがちな「うそ」と「言い訳」

 ――家賃保証会社の参入が大きいのでは?

 「とてもあると思います。審査もほとんどしていないところもある。ただ、私も使っていますが、身寄りがない人が増えている中では、なくてはならない存在でもある。お小遣い帳の管理など、小さい頃から金銭教育をしていくしかないのではないしょうか」


 ――滞納者の話がうそかもしれないと思ったことは。

 「よくあります。なんで払えなくなったのかの言い訳で本当によくあるのが『事故にあった。でも保険金が入るから払える』『身内が死んだからお葬式でお金がかかる』というもの」

 「もちろん、本当にその通りの人もいらっしゃいます。また『私に死ねというのね』とはよく言われますが、こたえます。でも、自分の極貧生活を振り返っても、誰もが紙一重のところで、滞納者になると思うのです」

     ◇

太田垣章子(おおたがき・あやこ)大阪生まれ、台湾育ち。2001年に司法書士試験合格。2010年、章(あや)司法書士法人設立。近著に『賃貸トラブルを防ぐ・解決する安心ガイド』(日本実業出版社)。

最終更新:5/7(月) 7:00
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