マックがまた値下げ。デフレマインドではなく、実際にデフレだ

日本のインフレ率はわずか「0.37%」

日本のインフレ率は、2016年が−0.11%、2017年が+0.37%です(※IMF推計。参考に2017年は米国+2.11%、英国+2.63%、ドイツ+1.56%)。

これでは、いかにデフレ脱却と言っても、デフレ基調が続いているとしか言いようがありません。

日銀は、しばしば「金融緩和を粘り強く続けていく」「デフレマインド」という言葉を使います。こうした言葉を聞くと、戦前の金融政策と同じではないかと、これまでの歴史が脳裏に浮かびます。

庶民にカチンとくる「デフレマインド」

日銀は「デフレマインド」という言葉をよく使いますが、これは、今の日本の庶民にはカチンとくる言葉です。

「デフレマインド」というのは、「お金を持っているのに、マインドのために使っていない」という意味としか思えないからです。

つまり、日銀はこう思っているわけです。日本の庶民は、お金をたっぷり持っているのに、お金を使いたくない。まだまだ値下がりするという「デフレマインド」によって、持っているお金を十分に使っていない。それによって、デフレが継続している。こういう話としか思えません。

これは政府が実態を認識していないのであって、年収100万円台とか、200万円台もまったく珍しくない状態に日本が陥っていることが、よくわかっていないとしか思えません。

日本は、お金を持ってるのに、使わないという状態ではありません。貧困化低所得化が先進国での限界まで進み、消費が増えるわけがないという状態にあるからです。

当メルマガでは前回、戦前の高橋是清もデフレがよくわかっていなかったのではないかと書きました。現代の日銀も似たようなスタンスと言えます。

これは、日銀職員の幹部クラスが、軽く年収1000万円を超える安定した高給取りのため、デフレを実感できないのではないかということが考えられます。

日銀職員も「年収250万円」を体験すればわかる?

例えば、日銀職員の年収を250万円にして、住宅もすべて自前で賃貸ということを体験したらどうでしょうか。

デフレがどのような問題を抱えていて、すぐに対処しなければいけない経済現象であることが、よくわかるでしょう。

年収を下げることが目的ではないので、差額は1年体験で1年後とか、3年体験で3年後とか、後でまとめて支給すればよいと思います。

つまり、日本のデフレで国民に何が起きているのか、経済政策の企画立案者には知ってもらう必要があるということです。

日本のデフレ脱却が遅々として進まないのは、戦前と同様に、経済政策の企画立案者に実感がないのが最大の原因でしょう。大きな金融危機(金融恐慌)の後の需給ギャップの大きさが国民生活にどう影響しているのか、認識しにくいのだと考えます。

マクドナルドは「日本はデフレ」と認識している

話は変わりますが、最近、マクドナルドの朝マックで、エッグマフィンとコーヒーなどのセット(コンビ)が300円から250円に値下げされました。

これは驚きです。消費者にはありがたいことですが、マクドナルドのマーケティング担当者が、まだ日本はデフレであると認識しているということです。

実際、ファミリーマートナチュラルローソンのイートインで、挽きたてコーヒーとパンで朝食をとる場合は200円台で済みます。

これと競合して、価格の低下圧力(デフレ作用)が働いているということです。

つまり、日本で所得が増えている状態では、マックが値上げしてもそのまま客は気にしないで購入しますが、所得が厳しい場合は、価格に敏感で安い方に流れます

今回のマックの値下げは、50円幅と大きく、日本のデフレ解消が簡単ではないことを示しています。

時間の経過とともに「デフレリスク」は増大する

さて、話を日銀に戻しますが、日銀は「金融緩和を粘り強く続けていく」ということもしばしば強調します。

しかしデフレは、時間の経過とともに、最悪の場合は「戦争」という結末を迎えるのです。

ですから、デフレは2年とか3年で終結させ、正常なインフレ率に戻す必要があります。これは、目先の数字の改善とかそういうレベルではなく、国家・国民全体でのデフレ脱却、需給バランスの改善という意味です。

日銀の説明を聞くと、インフレ率がゼロ近辺であれば、これを続けて徐々に改善すれば問題ないのではないか、というように思えます。

しかし、この時間経過は、重大な問題を抱えています。

日銀の年収250万円体験も、2~3年であれば一時的な苦労で済むでしょう。しかし、これが10年とかになってくると、生活の破壊とか貧困化という問題が起きてきます。

つまり、インフレ率がゼロ近辺ということは、プラス・マイナスゼロではなくて、日本で大きなマイナスの蓄積を続けているということです。

例えば、1年ごとに3万円ずつ増えて改善しているというような場合でも、問題は解決していません。年収が253万円➝256万円➝259万円…と少しずつ増えても、低所得状態が継続しているためです。

これは、生活コストがゼロではないためです。衣食住を国家が保証している場合はゼロ金利やデフレでも問題はありませんが、生活コストを国民が負担している場合は、大きなマイナスの蓄積となります。

この生活破壊が、実際に日本国民に起きているということです。

ですから、日銀が「金融緩和を粘り強く続けている」間に、国民の生活は破たんして貧困化に見舞われるということです。

FRBやECBは、デフレの脅威をよく認識していて、機動的な対応をしています。デフレは、長くても2~3年でないと、内乱や戦争を誘発するからです。

戦前、日本でもデフレから戦争が起きた

戦前の日本では、5・15事件(1932年)、2・26事件(1936年)が起き、対外的には1941年(昭和16年)の真珠湾攻撃へとつながっています。1929年のニューヨーク株式市場の大暴落・世界恐慌から、12年後には戦争となっているのです。

この間、国民生活全体という意味では、庶民の経済は改善していませんから、需給ギャップが残ったまま社会が不安定化。つまり、都市部や農村部で、貧しい生活に陥る人が多かったのです。

現在は、2008年のリーマンショックから10年後の2018年となりましたが、国民生活の改善は遅々としています。

これは、「良くなっている」のではなくて、「マイナスの蓄積が膨大になっている」という意味合いの方が大きいです。時間の経過とともに、です。

インフレ率2%目標の達成が急務

ですから、現代の日銀は、戦前を繰り返さないためにも、あらゆる方法を使って、1日も早くインフレ率2%を達成すべきです。

デフレは「経済の死」と呼ばれ、戦争によって需給ギャップを改善するということになりがちです。

今後の戦争回避も、日銀が2%のインフレ率を達成できるかどうかに、かかっていると言えます。

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