融資額は1億円台前半から2億円以上

※当記事は弁護士ドットコムの提供記事です

女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」への投資で賃料収入が不払いになった問題で、運営会社スマートデイズ(東京)と同社役員らを相手取り、原告のオーナー13人(30代から50代の会社員ら)があわせて2億円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。3月27日付。

原告代理人の加藤博太郎弁護士によると、13人はいずれも地方銀行スルガ銀行から融資を受けて投資を始めた。融資額は少ない人で1億円台前半、多い人は2億円以上という。損害は2億円にとどまらないが、まずは先行して損害の一部について賠償を求める。被告はほかに建築会社、不動産コンサルティング会社、販売会社など。

取材に応じる原告のひとり(写真=弁護士ドットコム)

スルガ銀行への法的措置も検討

3月27日に東京・霞が関の司法記者クラブで会見した原告の男性会社員(50代)は「詐欺のパッケージ商品になっていた。提訴して戦いたい」と話した。1億2千万円の融資をスルガ銀行から受け、生命保険代わりに、万が一の時に家族に残せると思って購入したという。

加藤弁護士は会見で、「多額のお金を吸い取るための魔法だった。関係者に対し詐欺罪での刑事告訴も検討している。スルガ銀行の責任も大きいと考えており、詐欺的スキームへの関わりがより濃厚になった場合、法的措置も検討していく」と述べた。

詐欺的で、明らかに故意による不法行為

訴状などによると、スマートデイズは支払う意思も能力もないのに長期にわたり利益が得られると誤信させ、販売会社を使って高額物件を原告に販売後、計画的かつ短期間でサブリース賃料の支払いをやめた。「詐欺的行為で、故意による不法行為に当たることは明らか」とし、同社役員についても「業務執行者として故意による不法行為責任を負う」としている。

また、建築会社は、本来なら大幅に低い価格で建築できるにもかかわらず、多額のキックバックをスマートデイズに支払うことを隠し、原告に何千万円も水増しした建築請負契約を締結させたと指摘。「不当に高額な建築請負契約を締結させて、多額のキックバック分の損失をこうむらせる違法性を有する行為」とした。

不動産コンサルティング会社についても、「残高を改ざんする専用ソフトがある」「スルガ銀行の担当者もすでに承知している」などと原告に告げて年収資料や預貯金残高を改ざんし、本来なら原告が投資することのできない高リスクの投資物件に投資させたと指摘。「違法性を有し、故意による不法行為責任を負うことは明らかだ」とした。

ある原告の預貯金残高の資料は、本来は50万円だったにもかかわらず、不動産コンサルティング会社が4千万円に改ざんしてスルガ銀行に提出したという。一方、スルガ銀行は融資審査で改ざんされた資料を受けとり、保存しているとみられるが、それらを開示するよう求めても「1か月以上、全く応じる気配がない」(加藤弁護士)という。

会社法に基づく責任追及も

もし今回の損害賠償請求が認められない場合、会社法429条に基づく取締役の任務懈怠(会社の取締役などがその業務を誠実に行わないなどの状態)を追及し、販売会社などに対しては善管注意義務違反(能力・社会的地位などから考えて通常期待される注意義務)を理由とする損害賠償請求を行ったり、キックバックなどの不当利得返還請求をしたりすることを検討するという。

この問題では、オーナーとなった会社員らに破産者が続出しかねない深刻な事態になっている。「長期の家賃保証」をうたうスマートデイズを信じ、多くの会社員は賃料収入を頼りにしてスルガ銀行から多額の融資を受け、シェアハウスを建築。1億円超の融資を受けた会社員も珍しくないとされる。賃料収入は2018年1月に一方的にゼロにさせられた。

取材:弁護士ドットコムニュース記者 下山祐治
早稲田大卒。国家公務員1種試験合格(法律職)。2007年、農林水産省入省。2010年に朝日新聞社に移り、記者として経済部や富山総局、高松総局で勤務。2017年12月、弁護士ドットコム株式会社に入社。twitter@Yuji_Shimoyama