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勘違いメンタルヘルスで部下の「心が折れる」時 問題が複雑化・深刻化する傾向が見られる

以下記事転載

http://sp.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20160907-OYT8T50053.html

勘違いメンタルヘルスで部下の「心が折れる」時

日本メンタルヘルス講師認定協会代表理事 見波利幸
無断転載禁止
 職場のストレスでうつ病などの精神疾患を発症し、労災認定される人が4年連続年間400人を超えるなど(※)、企業におけるメンタルヘルス(心の健康)対策の重要性が改めて認識されている。日本メンタルヘルス講師認定協会代表理事の見波利幸さんによると、個々の事情を考えない「誤解」も増え、間違った対処法で「部下の心が折れてしまう」ことも少なくないという。どんな勘違いで心が折れてしまうのか、解説してもらった。 

 

 

 職場におけるメンタルヘルス不調問題は、一向に減る兆しが無い。うつ病などによる休職期間が長期化したり、復帰しても休職を繰り返したり、復帰後のパフォーマンスが上がらなかったりと、むしろ問題が複雑化・深刻化する傾向が見られる。

 問題をこじらせてしまう一因として考えられるのは、そもそも不調が生じた原因を個別に深く掘り下げず、よく見聞きする例などから「過重労働が問題だった」「上司が厳しすぎた」「コミュニケーションができていなかった」「本人が弱かった」などの結論でひとくくりにしてしまうことだ。この誤解から、真に必要なアプローチがとれず、「対応したはずなのに」いつの間にか、部下の心が折れている。どんな誤解が多いのか、挙げていこう。

 

■よくある誤解その1

「プライベートでの会話を増やせばいい」

 

  • (写真はイメージです)
    (写真はイメージです)

 昨今、職場での飲み会が減少していると言われる。新年会や忘年会、歓送迎会など、職場行事的なものではなく、自然発生的なインフォーマル飲み会、いわゆる「飲みにケーション」の減少だ。こうした風潮を憂い、飲み会を増やせば、コミュニケーションが改善し、仕事にも良い影響が出るのだろうか。

 いや、それはほとんど期待できない。なぜならば、仕事上のコミュニケーションは、プライベートでの会話を増やしても改善することはなく、仕事を通しての会話でのみ改善するものだからだ(もちろん、仕事のコミュニケーションをきちんと行った上での飲み会なら問題はない)。

 たとえば、部下を飲みに誘ったが、断られた。「仕事でうまくいってないような様子なのでせっかく誘ったのに、最近の若い者は……」と愚痴る前に、そもそも仕事上のコミュニケーションがうまくできているか、を考えてみよう。

 部下が仕事上の問題を抱えていた時、「問題の原因は何か」、「解決するためには何が必要か」、「それは部下だけでできるのか」、「自分(上司)はどんなサポートをするべきか」を、職場での会話を通じて聞き出そうとしただろうか(他の人間の前が難しいなら、個別でもいい)。

 上司が親身に話を聞いてくれなかったと感じた部下は、「あの時、話をほとんど聞いてもらえなかった」、「大変な状況を理解してもらえなかった」、「ぐに助言を出して終わらせたがっている」などのネガティブな感情を抱きかねない。このような状況では、気を利かせたつもりで飲みに誘っても「今日は、予定が入っています」と体よく断られることが多くなる。そもそも、仕事以外の話をする気持ちすら持ち合わせていない場合が多い。

よくある誤解その2

「部下の話をしっかり聞けばいい」

 

 では、「部下の話を親身に聞く『傾聴』こそが重要」という上司はどうか。実は、これも大きな誤解である。

 東日本大震災の後、カウンセリングのスキルとして「傾聴」という言葉が一般社会でも知られてきた。傾聴とは相手の立場に立って親身に話を聞こうとする聞き方や態度のことで、相手の心に寄り添うことが重要となる。しかし、付け焼刃的な知識で「とにかく聞けばいいんだ」と思い込んで行動しても、多くの場合、効果は上がらないだろう。

 部下の気持ちに寄り添ったつもりで、「大変だったね」、「よく頑張ったね」という共感だけを示しても、仕事上の課題は一向に解決せず、放置していると問題が大きくなってしまうことがある。大変さやつらさを理解されることで救われる一面はあるが、問題解決が図れなければ一層辛くなるだけになってしまう。

  • (写真はイメージです)
    (写真はイメージです)

 もちろん、部下からの相談に「少しは自分で考えてみろよ」などと突き放してしまう上司は論外だ。部下は、「上司が部下に思いをせることができるのか」、あるいは「上役にこび売って常に自分の出世が念頭にあるのか」、どちらに意識が向いているのかを怖いほど見透かしてしまう。行き場がなくなった部下の心が折れやすくなるのは、容易に想像できるだろう。

 しかし、「聞きっ放し」だけでもダメなのだ。業務上のコミュニケーションにおいて大事なものは、主に二つある。一つは、今の部下の気持ちに焦点をあてた会話。もう一つは、その課題解決が図れるように導く会話だ。どちらが欠けても、サポートは十分ではない。

 「よくある誤解その1」でも述べたが、部下が心を開くように考慮しつつ、「問題の原因は何か」、「解決するためには何が必要か」、「それは部下だけでできるのか」「自分(上司)はどんなサポートをするべきか」を考え、解決に結び付けていくことだ。そのプロセスを踏まずに、結論だけ「こうしなさい」と単なる業務指示だけをしてはいけない。

 

いざという場合は“上司出陣”

 

 さらに言うと、上司が取るべきサポートで一番重要なのは、「実際の手助け」の場合も多い。部下が問題を抱え、限界を感じているときに、アドバイスや気持ちへの共感だけでは起き上がることはできない。最後の最後、必要なのは実際に上司が手を動かすこと。

 イメージをしてみてほしい。部下が、水の入っている重いおけを持ち続けていたとする。その桶には、さらに水が注がれている。部下は耐え切れなくなって、上司に相談をする。ある上司は、「上の蛇口を閉めて、下の栓を外して水を流しなさい」とアドバイスをする。しかし、部下は桶を持ち続けていて身動きができない状態。ある上司は、「大変だね、がんばっているね」と励まして精神的に支えようとする。しかし、それでは部下は倒れてしまう。

 この時、一番求められているサポートは、実際に上司が蛇口を止めて、栓を抜くことなのだ。

 なお、部下へのサポートの基本形態は四つに分かれる。

 

 <1>情報的サポート⇒問題解決が図れるようにアドバイスする。
 <2>情緒的サポート⇒励ましたり、共感したりする精神的な支えを行う。
 <3>道具的サポート⇒仕事を引き受ける、再分配するなど実際の手助けを行う。
 <4>評価的サポート⇒仕事ぶりを評価し、適切なフィードバックをする

 

 このうち、上司が陥りやすい失敗として、アドバイスだけに終始する、聞くことだけに専念するなど、自分が得意とするサポートだけをし続けてしまうということがある。そうすると必要なサポートが届かず、部下の心へのストレス源が大きくなり、心が折れてしまう。

職場のメンタルヘルスで大切なことは、不調になる部下とならない部下を選別して、前者を見放すことではなく、仕事のできる部下を育てることだ。以上に挙げた誤解は一例でしかなく、これを一般化して職場の現状にあてはめることも危険だ。要は、部下が今悩んでいる状況を丁寧に分析し、対応していくこと。

 その過程で、そもそも本人が仕事をどのように捉えているか、を知ることも重要だ。やっている仕事の意味を感じない、やらされ感で仕事している、いつも指示されたものだけをやっている、特に目標はない、などと語るような部下の場合は、一番心が折れやすい。なぜなら、仕事の価値観が創造できていない状態だからだ。

 どのような仕事をしていきたいか、仕事でどのような役割を果たしたいか、どのような働き方が合っていると思うか、どのように成長したいか、など未来の視点に立脚した会話をすることで、部下のキャリア意識も少しずつ醸成されてくる。そして、部下が仕事のやりがいを感じ、自己肯定感を高められるような職場になれば、職場の士気もあがり、業績アップにも結び付いていくのではないだろうか。