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司法制度改革によって弁護士数が増えたことから、スラップ訴訟や高額訴訟が増えている。SNSに悪口を書き込んだら1000万円を請求され、破産してもチャラにはならなかったり、離婚や不倫の慰謝料も高額化

以下記事転載

headlines.yahoo.co.jp

SNSに悪口で1000万円請求…無茶な高額訴訟が急増した理由

1/15(月) 6:00配信

ダイヤモンド・オンライン

 司法制度改革によって弁護士数が増えたことから、スラップ訴訟や高額訴訟が増えている。SNSに悪口を書き込んだら1000万円を請求され、破産してもチャラにはならなかったり、離婚や不倫の慰謝料も高額化――そんな恐ろしい現実をレポートする。(フリージャーナリスト 秋山謙一郎)

● SNSへの悪口書き込みから 大金を請求された夫婦

 かつて、市井に暮らすごく一般の市民にとって弁護士へのハードルは高かった。ましてや裁判など起こすことも、起こされることもなかった。だが司法制度改革により弁護士人口が増えた今、弁護士のハードルは低くなり、誰でも容易に裁判を起こし、起こされる時代となった。

 弁護士の側からしても、人数が増えて過当競争となっているから、訴訟はありがたい。かくして、かつてなら訴訟にすらならなかったような案件を引き受ける弁護士が増えた。そんな一例をご紹介しよう。

 「たしかにわたしたち夫婦はSNS内で勤務先企業の経営者の悪口を書きましたよ。でも、それはちょっとした井戸端会議というか、その程度のモノなんです。それで1000万円支払えという請求でした。いくらなんでもこれは酷過ぎます」

 大阪府内に住む50代のAさん夫婦は、夫婦で勤務する企業の勤務待遇の劣悪さから、時折、ネット掲示板やSNSに経営者をからかうような投稿をして憂さを晴らしていたという。その内容は和解後でもあり、ここでは詳述できないが、概ね、経営方針を揶揄したものや、「太っている」「禿げている」といった容姿をあげつらった内容である。

 そうしたネットでの憂さ晴らしを行っていたある日、突如、ネット掲示板での投稿が削除されていた。さらに月日が流れ、そんなことも既に忘れていたある日のこと、今度は、Aさん夫婦が契約しているプロバイダーから、「発信者情報開示請求の可否について」という書類が届く。インターネット掲示板に投稿した書き込みはAさん宅であることを、開示請求者である企業経営者に「開示してもいいか」というお尋ねである。

 「その時は開示を拒否しました。でも、プロバイダー側がその裁判に負けたので、結局、自動的に開示という運びになりました。それで、まずネット掲示板に経営者の悪口を書いたことへの損害賠償として1000万円支払えという内容証明郵便が届いたのです」

 この内容証明が届いた段階で、Aさん夫婦は、ようやく重い腰をあげて弁護士を探すことにした。高卒後、ずっと勤務先企業が提供する寮や経営者の自宅に間借りするなど、住み込みで働いてきたというAさん夫婦の周りには弁護士の知り合いなどいない。地方自治体で無料相談を行っていた弁護士に事の顛末を相談した。● 憎い相手からはとことんむしり取る! 鬱憤晴らしに利用される弁護士

 「弁護士さんに間に入ってもらって裁判には至りませんでした。でも、莫大な慰謝料を支払うことになりました。確かに、私たちのしたことは褒められたことではありません。でも、職場の不満を書いただけで名誉毀損の損害賠償というのは、どうにも腑に落ちません」

 Aさん夫婦は毎月、分割で数万円の慰謝料を経営者に数年支払うことで和解したと話す。

 だが、この事件がもとで勤務先を辞め、日雇い労働で生計を立てることになったAさん夫婦は、毎月数万円の慰謝料を支払うことで困窮を極めた。そこで消費者金融から借り入れをしていたが、その支払いも滞るようになったという。

 「どうにも支払えないので、弁護士さんにお願いして債務整理してもらうことにしました。インターネットでの書き込みの件も免責(借金をチャラ)となったのですが、ここでまたトラブルが起きたのです」

 Aさん夫婦によると、インターネット書き込み時の相手方の弁護士から、「これは非免責債権である」と弁護士を通して伝えてきたという。たとえ自己破産しても免責されない債権、つまり、「破産しても、払え」という主張だ。

 まだまだ弁護士の数が少ない時代であれば、そもそも他人に悪口を言われた、書かれたという事案で訴訟したりすることもなかったという。たとえ勝訴判決を取ったところで「紙屑判決」、一銭もカネが取れない案件だったのだ。一般に弁護士は、「自分の依頼者が、みすみす経済的損失を被ることが分かっていて訴訟や示談交渉を進めることは良しとしない」(愛知県弁護士会所属弁護士)傾向がある。

 ましてや自己破産した相手に、「非免責債権」を主張、さらに追い込みをかけるなどという行為は、「司法の場を依頼者の鬱憤晴らしに用いることに等しく、破産者の経済的更生を妨げる行為」(前出・同)として、元来、あまり行われることはなかったものだ。

 しかし、こうした傾向は近年、変わりつつあるという。前出の愛知県弁護士会所属弁護士は、その背景を次のように解説してくれた。

 「弁護士のサービス業化は同時に、訴訟のビジネス化を招いた。本来、訴訟には馴染まない事案を、依頼者心理にのみ寄り添い、これを法的紛争として弁護士料を得るというビジネスモデルだ。こういうことが続くと弁護士、ひいては司法が軽くなってしまう」● 離婚や不倫の慰謝料も高額化! 「儲けさせていただける」

 実際に司法は“軽く”なってきている。大企業が気に入らない言論を封じる目的で高額の訴えを起こすことで知られ、恫喝訴訟とも呼ばれる「スラップ(SLAPP)訴訟」の増加はもちろん、一般市民同士の諍い事でも、高い訴額を設定する人が増えた。隣人のクルマのバックミラーをうっかり傷つけたら、600万円をいきなり請求される、というような、驚くような損害賠償請求を目的とする示談交渉も出てきている。

 一概に言い切ることはできないが、日本の裁判では「どんなに負けても、訴えた額の10分の1は取れる」(大阪弁護士会所属弁護士)というのがよく知られたところである。ならば、訴える側は「訴える相手から取りたい額の10倍の額」を訴額に設定することで、慰謝料を取ろうという考え方をする弁護士が出てきたのだ。

 「欧米型の劇場化訴訟を真似ているのでしょう。でも、相手が無資力ならば、高額訴訟をしても、訴える側は何の利益も出ません。そうした依頼者の利益を本当に守っているとは、到底、思えません」

 関西の弁護士会で副会長経験のある弁護士は、スラップ訴訟や高額訴訟を起こす弁護士たちに、こう眉を顰める。続けて、こうも語った。

 「依頼者に成り代わって、その鬱憤晴らしに付き合うのが弁護士だとするならば、この職業も随分と軽いものに成り下がってしまったものだ。そういう法曹が出てきたのは、やはり新試験以降です。弁護士の権威が地に落ちた今、法曹制度養成から考え直さなければならない」

 だが、この高額訴訟化の流れが、弁護士業界の活性化につながっているという現実もまたある。東京弁護士会に所属する、「ヤメ判」と呼ばれる元裁判官の弁護士は、その現状を次のように語る。

 「たとえば離婚訴訟で慰謝料請求額は500万円とか、不倫事案で800万円とか…、実際にどのくらいの弁護士料を取られているのかはわかりません。でも、訴えられた側の代理人として、そうした高額訴訟に当たったとき、率直に言って、ちょっと『儲けさせていただいた』という気持ちになるのは偽らざるところだ」

 弁護士費用は、訴額が高ければ高いほど、高く設定される。弁護士費用は2004年に自由化されたのだが、今でも民事裁判では「訴えるモノの額(訴額)」に対していくら…という目安を用いている弁護士は少なくない。その目安としてもっともポピュラーなものが「旧日本弁護士連合会報酬基準」だ。

 たとえば、訴額1000万円ならば、着手金は「5%+9万円」で59万円となる。勝訴判決、もしくは勝訴的和解を得たならば、これに成功報酬が上乗せされる。

 だから、訴額がやたらに高い案件で訴えられた側からの依頼は、弁護士にとっての利益となるのだ。

● 弁護士はサービス業 「法律家」の矜持など必要なし!?

 スラップ訴訟や、鬱憤晴らしが目的の高額訴訟にモラルの問題があることは、多くの弁護士が分かっていることである。にもかかわらず、あからさまに批判の声をあげる者が少ないのは、こうした“カネ”にまつわる背景があるからだ。

 「法律家とは判事と検事だけ。弁護士はサービス業、訴訟はビジネスです。刑事裁判もそうです。私選の刑事被告人はお客様です。在野の弁護士を判・検事と同じ扱いにするほうが間違っているのですよ」

 今年、弁護士登録をしたばかりだという大阪弁護士会所属の新人弁護士はこう語る。

 かつて判事・検事と同格の「法律家」と呼ばれた弁護士だが、今や、自らを法律家と呼ぶ弁護士は、若手では真面目なオールドタイプの弁護士を除いてほとんどいない。

 弁護士のサービス業化、ひいては訴訟のビジネス化で、日本の司法は、「弁護士費用をたくさん積める者」が“訴えたいヤツ”を訴訟の場に引きずり出して懲らしめる社会となりつつある。

 「裁判員制度でも言われることですが、日本は司法と市民の間の乖離が著しいですよね。しかし、高額訴訟をいつ吹っ掛けられるか分からない社会となれば、いやでも市民は裁判を身近に感じられます。司法制度改革の目的は達成されつつあるのではないですか?」(同)

 果たして司法制度改革が目指したのは、こうした劇場型の訴訟社会だったのだろうか。

秋山謙一郎


 

最終更新:1/15(月) 11:05
ダイヤモンド・オンライン