武闘派法律家飯田一 みんなの法律トラブル相談窓口 かけこみユニオン支援ボランティア03-6265-6349無料 元自衛官司法書士 感謝ありがとう

司法書士飯田はじめ  依頼者の困り事いろんな法律トラブルを解決した時の感謝が生きがい

過労死の国・日本-労組の存在意義 「労組=経営者の手先=労働者のガス抜き組織」労働者の味方でない会社の御用組合 黄犬契約・・現実には役に絶たない

以下記事転載

http://ijimemental.web.fc2.com/karousi2.pdf

産経新聞 【過労死の国・日本-労組の存在意義】連載 2013.7.24~7.30
産経新聞 2013.7.24 過労死の国(2)1

(1)社員の妻から訴えられた「すかいらーく労組」…
会社への漏洩恐れて社員は労組から離れる


労働組合に期待していない…衝撃のアンケート結果
「相談なんてとんでもない。会社に筒抜けになる」。社内の労働組合を活用で
きないか、と電話越しに問われた男性はこう即答した。そして翌朝、出勤前に
倒れたという。
外部に相談も…
外食チェーン大手「すかいらーく」の社員だった中島富雄=当時(48)、
横浜市都筑区=は平成16年8月、脳梗塞(こうそく)で死亡した。神奈川、
静岡両県の複数店舗で店長の不在時などに応援に駆け回る「支援店長」。月平
均130時間にも及ぶサービス残業が2年も続いた末の過労死だった。
「言うことを聞けないなら辞めろ」。上司から暴言も吐かれていた中島は、
退職覚悟で会社に未払い残業代を請求する決意を固めていた。
中島は企業内労組「すかいらーく労働組合」の組合員で、組合費月4500
円は給与から天引きされていた。にもかかわらず、頼ったのは、個人加盟でき
る「全国一般労働組合全国協議会東京東部労働組合」(東部労組)。東部労組
が実質的に運営する相談窓口に中島がかけた最初で最後の電話が、冒頭のやり
とりだったのだ。
労組同士が対決
「会社を正すのが僕の使命だ」。生前に中島からそう聞かされていた妻の晴
香(57)は、中島が救いを求めようとした東部労組に自ら加盟し会社側と交
渉。労災認定を経て、18年7月に謝罪を勝ち取った。会社側は職場の改善状
況を年1回、報告することも約束し、現在も続けている。
ところが、すかいらーく労組はこの間、晴香を支援してこなかったばかりか、
中央執行委員長が専門誌のインタビューでこんな発言をして、物議を醸した。
「できる店長は、忙しい中でも休みが取れる。誰かが『私が代わりに働きま
す』と言ってくれるだけの、人間的魅力がなくてはならない」
「冒涜(ぼうとく)された」と怒った晴香と東部労組は19年7月、「労組
としての義務を果たさなかった」として、すかいらーく労組を相手に謝罪など
を求める民事調停を申し立てた。労組同士が法廷で対決する異例の事態に発展
したのだ。
組合員の健康を守るという点において共通するはずの労組同士の争いは、す
かいらーく労組が謝罪を拒否し続け、19年末に決裂。当時の委員長は労組を
離れ、関連会社の社長になった。
すかいらーく労組の役員は取材にこう答えている。
「労組に責任があったかは、私たちでは判断できない」
昇給と雇用優先
独立行政法人労働政策研究・研修機構」が19年、労働者10万人に行っ
た調査では、職場の苦情や不満を労組が予防・解決することに「期待できない」
という回答が47・5%を占め、「期待できる」(31・0%)を上回った。
理由としては「会社と同じ対応しかできない」(36・8%)、「会社から
不利益な扱いを受けるおそれがある」(20・1%)、「労組が従業員個別の
問題を取り扱うことに関心がない」(19・7%)-などが目立っている。
従業員の多くが労働組合に失望していることを浮き彫りにしたこの調査結果
に、甲南大名誉教授(労使関係論)の熊沢誠(74)は別の側面からも光を当
てる。過労死問題に取り組む労組が少ないことへの、不満が透けてみえるとい
うのだ。
熊沢は解説する。「労組は昇給と雇用の保障さえあればいいと考え、残業時
間や仕事量などをめぐる働き方の問題について、意見を言わなくなってしまっ
た」
(敬称略)

本来であれば、組合員である労働者の命と健康を守るべき労働組合。今の労
働組合が、「karoshi」にどうかかわっているのかを探る。
産経新聞 2013.7.25 過労死の国(2)

 

(2)店長過労死、作り笑いの店員…「こんな悲劇繰り返
せば マックはハッピーセットなど売れない」
笑えない“スマイル0円”
「店長が死にました。上司が勤務管理表を確認しにきました」。ホームページ
の投稿欄に店員とみられる人物から匿名で書き込まれた情報が端緒となり、労
働組合が動いた。
日本マクドナルドで店長を務めていた寺原あおい=当時(41)、仮名=は平
成19年10月、研修中に倒れ、くも膜下出血で死亡した。企業内労組「日本
マクドナルドユニオン」は、勤務先だった横浜市内の店舗を独自に特定。寺原
の遺族とも接触したという。
神奈川県内の店長で中央執行委員長の岡田篤(50)は、直後に訪ねた寺原
の店舗の光景が忘れられない。店員たちは作り笑顔で、うつむきながら接客し
ていた。
「こんな悲劇を繰り返したら、マックは『ハッピーセット』を売れなくなる」
寺原の残業は会社の記録上、月20~40時間だったが、岡田ら組合員は寺
原が通勤で使っていた店舗近くの公営駐車場を割り出し、情報公開請求で入出
庫記録を入手。遺族から提供を受けた携帯電話のメールと突き合わせ、実際の
残業が最長月121時間にのぼっていたと推計した。過酷な労働実態を浮かび
上がらせたのだ。
名ばかり管理職
19年からの3年間、マクドナルドは店長の労務管理をめぐる2つの問題に
直面していた。ひとつは寺原の過労死。もうひとつが「名ばかり管理職」だ。
名ばかり管理職とは、経営者と一体でなく職務権限を持たないのに、労働時
間規制のない「管理監督者」とみなされる従業員のことだ。20年1月、東京
地裁が男性店長への残業代の支払いを会社に命じた判決を機に、社会問題にな
った。
原告の男性店長は企業外の別の労組に個人加盟しており、組合員ではなかっ
たが、労組は訴訟を支援。会社は20年5月、全店長に残業代を支給すると表
明し、これによって名ばかり管理職は解消された。
しかし、当時の労組執行部はその後も正社員である店長の待遇改善に固執
パートやアルバイトから反発を招いたというのだ。
一方、寺原の過労死は20年9月に労災申請され、労働基準監督署が一度は
退けたものの、21年10月に神奈川労災保険審査官が逆転認定した。前後し
て委員長に就任した岡田は、過労死防止へと活動の舵(かじ)を切った。
協調しない労使
労組は21年12月、会社側と画期的な取り組みを進めることで合意した。店
長に集中する業務のうち、優先度の低い売上金の集計などを、実力あるパート
に任せようというのだ。こうした「ワークシェアリング」が進めば、正社員の
過労に歯止めがかかり、代わりにシフトに入る非正規労働者の収入は増える。
産経新聞 2013.7.26 過労死の国(2)3

 

(3)入社2カ月で過労自殺した「ワタミ」の26歳女性社員…
手帳に「気持ちが沈む。早く動けない。誰か助けて」

鬼気迫る表情で、亡くなった森美菜さんの無念を訴える父、豪さん=6月28日、東京都内(全国一般東
京東部労組提供)
「体が痛いです。体が辛いです。気持ちが沈みます。早く動けません。どう
か助けて下さい。誰か助けて下さい」
居酒屋チェーン大手「ワタミフードサービス」の新入社員で、平成20年6
月に過労自殺した森美菜=当時(26)=がのこした手帳の文面だ。日付は5
月15日。美菜は入社後1カ月半でこれを書き、1カ月もたたずに亡くなった。
調理研修がほとんど行われないまま神奈川県横須賀市の店舗に配属され、刺
し身などを作る最もハードな「刺場」を任された。開店前の午後3時までに出
勤し、平日は午前3時、週末は午前5時の閉店後も働いた。しかも与えられた
社宅が店から遠く、始発電車まで待機を余儀なくされた。
ボランティア研修や早朝研修が組み込まれ、休日に心身を休める暇もなかっ
た。調理マニュアルに加えて経営理念集も暗記せねばならず、リポートの提出
まで課せられていたという。
手帳に「SOS」を記すころまでの残業は月140時間。そして手を差し伸
べる「誰か」は、会社の中にいなかった。父、豪(つよし)(64)は、ワタ
ミが抱える欠点を指摘してこう悔やむ。
労働組合があれば、娘は救われたはずだ」
研修なし、勤務14時間超、経営理念集…「労使一体で改善」
厚生労働省の24年の統計では、従業員千人以上の大企業で労組に加入して
いる労働者は45・8%。千人未満の企業になると5・5%と極端に低いが、
ワタミはグループ従業員数6157人でありながら、労組が存在しない。
労働者が労組を結成する権利は、憲法で保障されている。が、美菜と同期入
社の女性は、豪に宛てた手紙の中で、入社時に会社から「労組を作ってはなら
ない」という趣旨の説明を受けたことを明かした。なぜかという質問に、担当
者は「不満があれば、すぐ上に伝えるから」と答えたともいうのだ。
神奈川労災保険審査官はこの手紙を証拠として採用し、昨年2月に美菜の過
労自殺を労災認定している。
ワタミグループの広報担当者は、取材に「そのような説明をした事実は確認
できない」と回答し、労組がない理由をこう述べた。
「弊社では労働条件の維持・改善は、労使一体となって検討し決定する方針、
風土であり、結果として円滑に実施できている。今後もこの考え方を踏襲する」
分断された職場
美菜の上司に当たる店長は、年下の女性社員だった。社内制度で決められた
「カウンセリング」を週1回行い、休日に体力の回復や気分転換ができないと
美菜から打ち明けられていたが、労働基準監督署の聴取には「どうして自殺し
たのか分からない」と答えた。
美菜のパソコンには死の直前、会社に提出したリポートが保存されている。
「120%の力で、どんなにひどい状況でも無理やりにでも乗り越えろと?」
「日々の業務が終わると、皆へとへとである。それとも、へとへとになってい
るのは、私だけか?」-。疑念を直接、ぶつけていた。
入社前、過労死の心配を口にした母親に、美菜は「大丈夫。変だと思ったら、
すぐ辞めるから」と応じたのだという。
労使一体を強調することで、会社は美菜から冷静な判断力を奪ったのではな
いか。労組が存在すれば、会社との協定によって残業に歯止めがかかっていた
のではないか-。豪はそう考えずにはいられない。
「だれもが追い立てられ、互いを気にかける余裕さえなく、職場が分断され
ていた。労組は、やはり必要だ」
豪の悲痛な思いを受け止められる労組は、果たして存在するのか。ある労組
で書記長を務めていた若者が自らの試行錯誤を語った。
(敬称略)
産経新聞 2013.7.29 過労死の国(2)4

 

 

(4)イメージ悪すぎ「労組やっていると親に言えるか?」
…沈黙する組合仲間
「このままでは、労働運動をやった気分で終わってしまう」。地域労組おお
さか青年部で過労死問題などにも取り組んできた元書記長、中嶌聡(30)は
昨年9月、約4年間務めた役員を辞めた。
地域労組おおさか青年部は、大阪府内の20地域にある個人加盟労組の青年
組合員のネットワーク。20~30代が中心に活動し、弁護士らでつくる大阪
過労死問題連絡会とも連携する。
中嶌が在任中に担当した団体交渉は約60件。サービス残業長時間労働
強いられたり、パワーハラスメントを受けて精神疾患や不当解雇に追い込まれ
たりと、いわゆる「ブラック企業」によって過労死や過労自殺につながりかね
ない事案が大半を占めていた。
このうち2件を除いて会社側に勝ち、残業代や和解金を支払わせることに成
功した中嶌だが、一方で活動に限界を感じてもいた。モグラたたきのように、
相談があるたびに団交を繰り返すだけでは、根本的な解決に結びつかないから
だ。
政党依存から脱却
労組は特定の政党の支持基盤となり、労働者の待遇改善につながる政策を政
治力によって実現させようとするのが一般的だが、中嶌は新しい手法を模索し
てきた。「労組が政党に依存するから、政権が交代すると目的を達成できなく
なる。労働運動を政党と切り離すべきだ」
職場の身近な疑問に答えるメールマガジンを発行して2千人の読者を集めた
り、インターネットの動画サイトで労働相談の様子を生中継したり。大阪・ミ
ナミのライブハウスを借り、過重労働に苦しむ若者たちのトークイベントを行
ったこともある。
ただ、昔ながらの労働運動に慣れ親しんできた年配の幹部は、快く思わなか
ったらしい。昨年4月に青年部の名称を「大阪青年ユニオン」に変更し、いま
や韓国にまで広がったほかの青年ユニオンとの連携を試みたが、わずか5カ月
で撤回を余儀なくされた。
「組織の諸事情」としか役員退任の理由を語らない中嶌は、当時のホームペ
ージにこんなあいさつ文を書いている。「労組に希望を見いだす20代、30
代が増えることを願います」
「活動」親に言えぬ
厚生労働省によると、全労働者のうち労組に入っている人の割合を示す「推
定組織率」は、昨年6月末時点で17・9%となり、昭和22(1947)年
の調査開始以来、過去最低となった。昭和24年には55・8%を記録し、平
成に入った当初も4人に1人は加盟していたのに、だ。
なぜ労組がここまで衰退したのか、中嶌には思い当たる節がある。活動を共
にした20代のメンバー約10人と昨年末、新しい労組を立ち上げるかどうか、
話し合ったときのことだ。「自分が労組をやってるって、親とか友達に言えて
るの?」。ふとした質問を投げると、全員が黙り込んだ。
「イメージが悪すぎて、メンバーを増やせそうにない」。そう痛感した中嶌
は、労組ではなく、より中立的なNPO法人を作ることにした。
申請中のNPO法人「はたらぼ」では、会社と労働者をつなぐ「中間団体」
を目指す。手始めに、健全な労務管理をしている中小企業が、知名度の低さか
ブラック企業と混同されるのを防ぎ、人材が集まりやすい仕組みを作る計画
だ。
中嶌は「会社に圧力をかけて労働条件の改善を促す労組の役割は大きい」と
期待しながらも、当面はNPO法人で労使間の信頼関係づくりに取り組みたい
という。中嶌は言う。
「会社を批判するばかりでは、建設的でない。中立の立場で対案を示し、過
労死を招く長時間労働の抑制などにつなげたい」。模索は続いている。
(敬称略)

産経新聞 2013.7.30 過労死の国(2)5

 

(5)過労死に無力な労組、予防は企業任せ
「努力不足」と強まる批判
労使双方の弁護士らが法廷さながらに討論した「産業保健法務研究研修センター」のセミナー=今年2月
22日、大阪市内(小野木康雄撮影)
労働組合の多くは、被害者意識にとらわれるか経営者に頼るばかりで、過
労自殺を防ごうとする努力が足りない」。近畿大教授で労働法を専門とする三
柴丈典(42)は話す。
自らを「臨床法学者」と位置づける三柴は、一時、弁護士登録をして労働裁
判を担当。現在は厚生労働省労働政策審議会で、安全衛生分科会の公益代表
委員も務める。職場のメンタルヘルス対策に精通し、労使双方の主張を理解す
る実務家でもある。
過労自殺を引き起こす心の病は、職場内外のさまざまな問題が絡み合って発
症する。長時間労働パワーハラスメント、本人の適性や性格…。過度なスト
レスをかけない環境整備から、不調になった人の休職・復職支援、離職が避け
られない人へのフォローまで、メンタルヘルス対策の範囲は広い。
ところが、活発な労組でも、せいぜい遺族や不調者による労災申請と、企業
を相手取った民事訴訟などの「救済」を手伝うにとどまる。三柴の批判は、労
組の多くが「予防」を企業任せにしている点に向けられているのだ。
スキルが必要
予防を実践してもらうため、三柴は昨年11月、医師や弁護士など一線で活
躍する専門家約20人に呼びかけ、一般社団法人「産業保健法務研究研修セン
ター」(産保法研大阪市西区)を設立。法務と関連分野のスキルを総合的に
身につける資格制度「メンタルヘルス法務主任者」を新たに作った。
ところが、計48時間の養成講座を受講する約170人のうち、労組役員は
ごく少数。大半は社会保険労務士産業医、企業の人事労務担当者だという。
労組の関心が高いはずの話題も扱う。今年2月、東京と大阪で開いたセミナ
ーでは、上司の叱責を受けて休職と復職を繰り返した社員を解雇できるかどう
か-という事例をめぐり、労使双方の弁護士が法廷さながらに討論した。
「他の社員がいる前で怒鳴りつけたのだから、上司によるパワハラに当たる」
「業務指導の範囲内。労災の認定基準に照らせば心理的な負担は小さい」。こ
んなやりとりを踏まえ、最後に参加者全員の多数決で、労使どちらの主張が正
しいか“判決”を出したのだが、東西の会場で結果は分かれた。それほど、難
しい問題なのだ。
産保法研の目標は、適切なメンタルヘルス対策によって、労働者個人と会社
組織をともに成長させる点にある。「権利が保障されている労組にこそ、勉強
してスキルを身につけ、実務に生かしてほしい」と、三柴は訴える。
遺族の不信感
過労死・過労自殺の遺族たちが求めている予防もある。「過労死防止基本法
の制定だ。弁護士らとともにまとめた素案には、国が過労死を「あってはなら
ないこと」と宣言し、実態調査や総合対策を行うことを盛り込んでいる。
遺族たちは、議員立法を呼びかけて超党派国会議員を訪ね、院内集会を計
7回、開催した。「全国過労死を考える家族の会」代表、寺西笑子(64)は
言う。「職場の実情を最も良く知る労組でなく、なぜ私たちが前面に立たねば
ならないのか」
昨年11月、衆院解散から4日後に開いた院内集会。身分を失った衆院議員
と足並みをそろえるかのように、労組からの出席者が減っていた。寺西にとっ
ては、労組が特定の政党への支援を優先していたとしか映らなかったというの
だ。
寺西は、こんな言葉を突きつける。「働く人たちの命と健康を守ることこそ、
労組の役割ではないのか。賃上げや政治ではなく、長時間労働を抑えるような
労働運動に専念してほしい」(敬称略)
=おわり