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新卒社員の母親からクレーム電話の嵐!職場を侵すモンペの恐怖

以下記事転載

headlines.yahoo.co.jp

 

新卒社員の母親からクレーム電話の嵐!職場を侵すモンペの恐怖

12/19(火) 6:00配信

ダイヤモンド・オンライン

 「うちの子だけは残業させるな!」「取引先との会食に参加する義務はない!」などと理不尽な要求を突き付ける新卒社員のモンスターママ(以下、モンママ)。モンスターペアレント(以下、モンペ)に対して、会社はどう対応すべきか?(特定社会保険労務士 石川弘子)

S社概要
創業25年の求人広告を扱う広告代理店。従業員は150名程度で、20代、30代の営業社員が多く、社内は比較的自由で、和気あいあいとしている。毎年新卒採用を行っており、社員育成のための教育プログラムも充実している。
登場人物
石黒部長:人事部長。40代半ばで、採用から育成までを一手に担う。真面目な人柄で、冷静沈着。
赤井主任:営業部主任。30代の既婚男性。仕事を愛しており、部下の面倒見もいい。熱血タイプではあるが、部下の話にもきちんと耳を傾ける姿勢から周囲の評価も高い。
青木:新卒社員。大学卒業後、明確なキャリアプランがないまま入社した。仕事で上司から注意を受けることが多いため、本人のモチベーションも下がっている。
● 新卒のモンママから 人事部に抗議の電話

 「うちの子には『残業をさせないでくれ』って言っているんです!うつ病になったら、どう責任とってくれるんですか!」

 石黒部長の耳元の受話器から、女性の怒鳴り声が響いている。新卒で入社した青木の母親を名乗る女性から「息子の帰りが遅いが、毎日そんなに残業させるのはどういうつもりか?」「取引先との会食なんて仕事じゃないのだから参加する義務はない!」「毎日仕事で上司に叱られると息子が言っている。パワハラじゃないか!」といった電話がかかってきたのだ。

 石黒は「確かに残業はありますが、通常は1時間以内程度の残業ですし、パワハラは特にこちらでは認識しておりません」と丁寧に応対したが、モンママの興奮は収まらない。

 石黒は「とりあえず、残業とパワハラについては調査の上、後日、改めて連絡します」と何とかなだめて電話を切った。

● 新卒の上司である主任を呼び出し、 現状を確認すると…

 石黒は早速、青木の上司である赤井主任を呼び出した。電話の内容を伝えると、赤井は青木の現状について話し出した。

 「実は現場で、青木がちょっと問題となっていまして……。先輩から引き継いだお客様から、『マナーがなっていない』『レスポンスが遅い』など多数のクレームを受けているんです。本人に指導しているのですが、なかなか改善できなくて。時間をかけて育てていくつもりですが、よく怒られるので本人のモチベーションも下がっているようです。残業は基本的に1時間以内で、遅くまで残るということはないです。ましてや、パワハラなんて、私も含めてそういったことはしていません」

 石黒は、念のため他の営業社員にも状況を聞いてみたが、青木については、皆があまり心良くは思っていないようだった。何度注意されても改善の様子が見られず、責任感のなさが目立つので、周囲も呆れているとのことだった。残業やパワハラについても、赤井主任と同じ言い分だった。

 石黒は、青木本人からも話を聞くことにした。

 「君のお母様から会社に連絡があったが、実際にそういうことはあったの?」

 石黒が青木に尋ねると、青木はボソボソと話し出した。

 「会社案内を見た時に、『定時は18時』って書いてあったのに、割と頻繁に19時近くまで仕事をさせられています。友達との飲み会にも遅れることも多いので、それは不満です。それに、主任からクレームの件で怒られたんですが、一方的に僕に対して注意するのはおかしいと思います。お客さんの方が分かっていないっていうか、頭が悪いっていうか、それを僕のせいにされても困ります。理不尽に怒られるのはパワハラですよね?」

 石黒は「できるだけ残業を減らす努力はしてもらうが、営業職だと、打ち合わせがあれば時間を過ぎてしまうこともある」「クレームは、主任から見ても青木さんに非があると判断したから叱っているのであって、謙虚に受け入れる必要がある」と、やんわりと伝えるが、青木は納得いかない表情だった。

 「怒られると、やる気も下がるし、精神的にも追い詰められる」

 青木がこう言うので、石黒は「とにかく、タイムカードなどの記録を見る限り、長時間労働とは言えないが、今後も主任にはできるだけ残業を減らすように指導していくので、青木さんも主任の指導を素直に受けるように……」と伝えて面談を終えた。

● 逆上したモンママからの 執拗な電話攻撃が止まらない

 翌日の朝、青木の母親から石黒宛てに電話が入った。

 「うちの息子が昨日の夜から部屋に引きこもってしまった。今朝も『もう会社を辞めたい』と言っている。長時間労働パワハラで訴えるつもりだ!」とすごい勢いで喚き散らした。

 石黒は「青木さんの上司とも話し合いを行い、何度も長時間労働といえるような残業はなかったこと、パワハラではなく、通常の指導の範囲であったこと」の調査結果を報告したが、モンママは石黒の報告を全く受け付けず、自身の言い分をまくし立てるだけで、一向に埒が明かなかった。

 そのため石黒は半ば強引に電話を切ったが、モンママはその後、何度も何度も電話をかけてきては、同じことを喚き散らした。石黒は電話を取り次がないように部下に言ったが、今度はその部下を相手に攻撃をしてくる始末。結局その日はモンママから何度も何度も電話がかかってきて、全く仕事にならなかった。

● 精神的に追い込まれた石黒は モンママにどう対峙したか?

 その後も、青木は無断欠勤を続け、モンママから毎日のように電話がかかってきた。

 「息子は精神的ショックで部屋から出られなくなった」「うちの子だけ残業はさせないと約束しろ」「うちの子は赤井とかいう主任より学歴もいいし、能力が高い。それを嫉妬してうちの子をいじめている」「人事部長としての責任と役割をどう考えているのか?」などと、時には2時間以上も話が続くこともあった。そして電話を切っても切っても、執拗に何度もかけてくるため、S社の営業にも支障が出てきてしまった。

 その都度対応していた石黒も段々と精神的に追い込まれて疲弊し、電話が鳴るとついに動悸がするようになってしまった。

 石黒は「このままではいつまで経っても解決しない」と意を決し、会話の頻度と時間、内容を記録するようにした。そして、青木の母親から電話がかかってきた際に、ついに切り出した。

 「お母様、私どもは今回の件では、青木さんご本人や主任、同僚からも話を聞き、タイムカードや警備システムの時間を調べて、長時間労働パワハラはなかったと認識しています。それでも、毎日このようなお電話をいただくとは、業務妨害であると考えています。これからは会話を録音させていただき、警察に相談させていただきます」

モンママは「警察は関係ないだろう!」と騒いでいたが、怒って電話を切った。その後はモンママからの連絡がプッツリと途絶え、青木もそのまま無断欠勤が続いたため、就業規則に則り、退職扱いとなった。

 その後、しばらくは電話が鳴るたびにドキドキしていた石黒も、ようやく表情が明るくなり、S社にも平和な日常が戻ってきた。

● モンペ対策で 気を付けたいこと

 いかがだっただろうか。社員のモンペ問題に頭を抱えているところは少なくないだろう。今回の事例から気を付けたい点が2つある。それは、録音問題と体調異変だ。

 (1)通話の録音は証拠能力があるのか?

 企業側にとってトラブルになった時、録音を考えるだろう。その際に、今回のケースのように事前に「録音する」と伝えた上での録音であればいいのだが、相手側に通知することなく内緒で録音した場合、通話の記録は証拠能力があるのだろうか?

 相手側に内緒で録音した場合の証拠能力は、判断が分かれる場合がある。やはり、トラブル防止のためには録音することを事前にアナウンスした上で行う方が無難だ。

 相手に「録音する」と通知した時点で「秘密録音」ではなくなり、証拠として認められやすくなる可能性が高くなるようだ。ただし、録音内容を第三者に聞かせたり、ネットなどで公開したりといった行為をすれば、プライバシー侵害、名誉棄損等で違法となる可能性があることに留意してほしい。

 (2)電話応対者の体調異変が起こったら早急なケアが必要

 本件では、モンママの業務妨害が原因で、石黒の精神に変調を来していることが明らかである以上、このまま放っておくと体調が悪化していく可能性が高い。そのため、一刻も早く石黒のケアをしなくてはならない。そしてこの場合、社員の安全管理という点からも、早急に悪質な行為を止めさせるため、裁判所に「迷惑行為の差し止め請求」を行うこともできる。

 ただし、社員の親が迷惑行為をしていることを理由に、社員に懲戒処分を科すことはできないので、問題社員への対応には細心の注意を払ってほしいと思う。

 ※本稿は実際の事例に基づいて構成していますが、プライバシー保護のため社名や個人名は全て仮名とし、一部に脚色を施しています。ご了承ください。

石川弘子