「地面師」

普通に生活を送っている一般の方々にはあまり馴染みのないフレーズだ。

しかし、不動産業界の中では最も注意しなければならない「不動産詐欺グループ」の事を意味する。

積水ハウスが63億詐取された事件は記憶に新しい。都内の超一等、業界最大手企業の積水ハウスをも騙してしまう「地面師」今回は大手ホテルチェーン「アパグループ」を標的に。被害額は12億円、その手口とは?

 目次

アパグループ相手に12億円の詐欺

警視庁捜査2課は11月8日、会社役員の宮田康徳容疑者(55)。司法書士の亀野裕之容疑者(53)その他犯行に加わった人物を含め合計9人を偽造有印公文書行使などの容疑で逮捕した。

2013年8月、港区赤坂にある土地の所有者の親族2人になりすまし、アパグループの関連会社「アパ」と土地の売買契約を結んだ。

そして、登記も詐欺グループ内で作成、申請したという。

 アパグループは親族と装った詐欺グループに土地の購入代金を支払ったが、登記の審査中に印鑑登録証明書などの偽造が発覚し、申請は却下されたのを受け、今回の事件が発覚。返還を求める損害賠償訴訟を起こした。

これに対し、東京地裁は13年12月に全額を返還するように命じていた。

地面師と地上げ屋の違い

一般的に土地の売買に関するトラブルとなると「地上げ屋」を思い浮かべる方も多いのではないだろうか?「地面師」との違いはどういった所だろう。

地面師とは

  • 不動産物件を詐取する「詐欺グル―プ」主な特徴としては
  • 土地や建物の持ち主が知らないうちに本人になりすまし、勝手に不動産を転売又は担保に入れ代金を詐取する
  • 身分証明書や印鑑証明書を偽造する者がいる。
  • 登記簿上の本人に成りすまし、実際の交渉にも顔を出す「実在の偽者」がいる。
  • 架空の法人を設立する者
  • 実在の「不動産鑑定士」「司法書士」「土地家屋調査士」「建築士」「宅地建物取引士」などの専門家も詐欺に加担している

地上げ屋とは

  • 主にバブル期、時代の背景もあり「土地価格は絶対に下がらない」との神話の元、土地をのべつまくなしに買い取っていった集団。
  • 売却を拒むものに対しては嫌がらせをし、強制的に退去に追い込む。
  • 目に見える嫌がらせが多い。抵抗する者の家に火をつけボヤをだす。
  • 家族(娘、息子)への危険を感じさせる文言で脅迫する
  • 重機や車などを使用し、直接家屋に被害を加える。

地面師は知能犯であり「詐欺集団」

地上げ屋は目に見える解りやすい実力行使型の犯行。

これで違いは明確ではないか。

地面師は複数人で土地の売買詐欺を行う集団

2017年の6月。不動産大手の積水ハウスが63億円の土地売買で詐取された事件も地面師の犯行とされている。こちらは未だ犯人は見つかっていない。

地面師集団の特徴としては、本物の司法書士不動産鑑定士がグループ内にいる事で、一方ではまともな仕事もしている事も多い事で、その事を隠れ蓑にし、捜査の網をかいくぐっている。

今回は2013年からくすぶっているのを捜査2課が調べ上げ、逮捕に到った。

これは氷山の一角に過ぎないはず、これを好例とし、こういった詐欺集団の撲滅につなげたいものだ。

以下記事転載

polestar.0510.main.jp

2017年11月25日配信「APA事件摘発以降も続く“地面師火砕流捜査”の行方?」<事件>

 

 

 地面師の話題が尽きない。

 新橋白骨死体事件、史上最高63億円詐欺の海喜館事件、そして容疑者が逮捕されたAPAホテル事件……。

 新橋4丁目に自宅と合わせ10億円の資産を持つ高橋礼子さんが、昨年10月、地面師に土地を収奪されたあげく、白骨死体となって発見された事件は、「資産家で身寄りのない孤独なひとり住まい」という地面師に狙われ条件を整えていたのだが、警視庁はロクな捜査もしないまま、「事件性はない」と結論付け、無惨さを倍化させた。

 アル中気味で奇矯な行動をすることもあった高橋さんが、失踪時の服装のまま路地の隙間で死んでいたのは「酩酊状態の死」というのが警視庁の見立てだった。

 ではせめて、地面師事件の方は暴いてもらいたいと思っていたところ、APA事件が弾けたことで早期着手の可能性が出てきた。

 APA事件の報道で幾つかのメディアは、逮捕された9名の容疑者のうち、唯一の女性である秋葉紘子(73)が、新橋4丁目案件にも絡んでいると報じた。

 「秋葉容疑者は、一昨年、東京・港区の土地を巡っても自らが土地の所有者に成りすますなど、不正な取引に関与していたことが分かりました。パスポートの顔写真を張り替えて悪用していました」(ANNニュース)

 高橋さんが所有する新橋4丁目の約170平方メートルの土地を狙った地面師は、15年4月、大田区大森のワンルームのアパートに高橋さんが移転したことにして、印鑑登録証やパスポートを偽造、成りすまし女を使って土地の名義を書き換えた。

 その成りすまし女が秋葉容疑者だったというのである。

 土地の所有権は、高橋さんから15年4月28日、「三京」(木更津市に移ったのを皮切りに、「CKエージェント」(相模原市)→「平和興産」(千代田区)→「京栄商事」(港区)→「中央都市管理」(新宿区)→京栄商事→「NTT都市開発」(千代田区と、わずか3ヵ月の間に、複雑な移転を繰り返している。

 どこまでが「善意の第三者」なのかは不明だが、鍵を握る秋葉容疑者の逮捕によって、早い段階の事件化は間違いない。

 「犯行の連鎖」は、APAホテル事件の前から始まっていた。

 例えば、15年11月10日に関係者が逮捕された杉並区の地面師事件である。

 マスコミ報道では首謀者だけだが、この時は、八重森和夫を筆頭に内田マイク・渡邉政志・大賀義隆・福田尚人・上村寿一・大島洋一・広井秀一・山本諭の9名が逮捕された。

 このうち八重森、内田、福田の3容疑者は、多くの地面師事件に登場する“有名人”である。

 また、今年2月14日には、墨田区曳舟の3階建て店舗兼住宅に住む独居婦人の土地をだまし取ろうとした地面師グループ6名(宮田康徳・亀野裕之・松元哲・岩佐彰巳・田村久彰・高橋利久)が逮捕された。

 このうち首謀者は過去にも地面師事件を手がけていた宮田容疑者であり、そのパートナーというべき司法書士亀野容疑者である。

 宮田グループには別件もあり、それが今回のAPAホテル事件であり、2人は逮捕されたが、西五反田の医療法人を舞台にした地面師事件も手がけており、そこには松元容疑者も関与しており、こちらに事件が波及する可能性も十分だ。

 11月8日のAPAホテル事件の容疑者を列挙すると以下の通りである。

 宮田康徳・藤井明・永田浩資・亀野裕之・星野芳彦・秋葉紘子・白根学・松尾充泰・石川仁。

 このうち秋葉容疑者が新橋4丁目案件に絡むのは前述の通りだが、秋葉容疑者が五反田「海喜館事件」の女将・海老澤某女(今年6月死去)の成りすまし犯?という説もあり、そうなると「あの積水ハウスさえだまされた」と、大きな話題を呼んだ海喜館事件に波及する可能性がある。

 いずれにせよ、多数の地面師事件を抱え、水面下で捜査してきた捜査2課の努力が、関係者の大量逮捕と収集してきた情報の蓄積によって大きく実っており、今後、火砕流のような捜査となることが期待されている。【巳】