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借金から崩壊する家族関係・?・相続のトラブル  成年後見・保佐・補助から財産管理を適性に

以下記事転載

 

家族の関係修復をせぬまま、父と母が他界…。普通の人にも起こる相続トラブル談

 

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171031-00080384-esse-life

 

10/31(火) 20:10配信

 

(ESSE)

「相続の問題で最近増えているのは、財産が少なくてもめるケースです」。そう教えてくれたのは、弁護士の比留田薫さん。近年、家庭裁判所にもち込まれた遺産分割で、相続財産か1000万円以下のケースは3割以上と、じつはいわゆる“普通の人”にとって、相続トラブルは意外にも身近な存在なのです。
また、「うちは財産がないから相続争いとは無関係」「いつか不仲は解決するだろう」と、年老いた父母がいるにもかかわらず家族間のトラブルを放置するのも問題。関係修復の努力をしないでおくことが、悲劇を生むことも…。今回はESSE編集部に届いた、”普通の人”である読者の体験談をご紹介します。

兄との金銭トラブルから孤立。家族と仲直りできないまま父と母が相次いで他界し…

<体験者DATA>
田尻真由子さん(仮名)神奈川県・47歳
●借金をもちかけられたことで、夫と義兄との関係が悪化し疎遠に。義父母との仲も、義兄の策略で関係を断つほどこじれてしまう。家族のなかで孤立したまま、義父母が相次いで他界。ともに相続人として義兄と突然向き合うことに。

ドアをあけたとたん、ツーンと鼻をつくすえたようなにおい。目に飛び込んできた荒れ果てた部屋を前に、私は立ちすくんでしまいました。その前日、義父は病院で息を引き取り、私たちは懐かしい夫の実家へと、義父の遺体を連れ帰ってきたのです。この家に最後に来たのは、かれこれ4年も前。というのも、とある事情で、私たち夫婦は、両親と距離をおかざるを得ない状況が続いていました。ここ数年、持病が悪化して病院通いになった義母と、体が弱くなった義父。そんな2人の通院の送り迎えをはじめ、日常生活の世話をやってきたと話すのは、義兄夫婦でした。義兄は両親から鍵を渡されており、「すっかり頼られちゃってさあ」と、ちょっと得意げ。「俺たち2人でずっと面倒みてきたんだ。いやあ大変だったよ」。

でもその言葉のうそは、この家の惨状を見ればすぐわかる。ほんの数日、家をあけただけなのに、汚れ放題のキッチンにも、カビで一面真っ黒のお風呂にも、ここしばらく使った痕跡がありませんでした。「介護保険サービスは使っていなかったんですか?」「いや、あれ認定とか面倒でしょ。うちのやつもほら、毎日仕事してるし」。それでどうやってお世話ができたというの?お義父さん、ここでいったいどんな生活をしていたのですか?元気だった義父母の姿がよみがえり、私は声を出さずに泣いていました。私たちと義父母は、かつてはうまくいっていたのです。むしろ、問題は義兄だった。

父母との関係が義兄の策略で悪化

夫と義兄は2人兄弟。兄弟仲は普通だったようですが、ある日義兄が夫の会社に電話をかけてきて、「とにかく貸せるだけ金を貸してくれ」と借金を申し込んだことがきっかけで、関係が悪くなりました。

 

義兄はバブル期に無理して家を購入したものの、バブル崩壊で会社が倒産。その後は転々と職を変え、あちこちに借金をしながら日々をしのいでいました。最初は気にかけていた夫も、返すあてもなく借りまくって友人知人に迷惑をかけ、かといって自宅は手放さない、その不誠実さにあきれ果てたようです。

 

義父からも「あいつには絶対貸すな」とクギをさされていたこともあり、借金は突っぱねていました。そのうち、すっかり疎遠になってしまって。義兄夫婦は、お金を無心する以外の目的では、義父母宅に寄りつかないようでした。

一方、義父母と私たちの関係は悪くなく、手づくりのおかずを持って、子連れでよく義父母の家に遊びに行きました。両親も私たちを頼ってくれていたと思います。義母からは、義兄の愚痴をよく聞かされました。そんな関係が一変したのは、4年前。義父が「恩人」と呼び、若い頃から慕ってきた遠い親せきの家で、ちょっとゴタゴタがありました。とにかく手がたりないということで義父から招集がかかり、義兄夫婦は「恩人」の家へその日のうちに駆けつけたようです。ところがその話が、なぜかわが家には届かなかった…。当然、義父は大激怒。しばらくして、そんなこととはつゆ知らずに、いつものように遊びに行った私たちを見るなり、義父は「親の顔に泥を塗りやがって」「兄ちゃんは来たのにどうして弟が来ない!」と怒鳴りました。「連絡がこなかった」と言っても「うそつくな!」と取り合ってもらえません。義母も「二度と家に来ないで!」と。じつの母に「二度と来るな」なんて言われたら…。

その日以来、私たちと義父母の関係は途絶えました。その後、風の便りに聞こえてきたのは、義兄がしょっちゅう義父母の家に出入りしているということ。その瞬間、すべてがわかった気がしました。義兄はわざと私たちに招集の連絡をしなかったのではないか。親せきや義父から、「弟も呼べ」と言われなかったはずはありません。おそらく「呼んだよ」などとうそぶいたのでしょう。晴れてやってきた、ダメダメ兄ちゃん逆転の大チャンス。なるほど、そういうことか。義母の具合が悪くなり、通院に義兄がつき添っているという話も人づてに耳に入り、蚊帳の外におかれた夫はさぞ無念だったと思います。でも、夫の気持ちは揺るがず、「次に親に会うときはどちらかが死んだときだ」という姿勢は崩さなかった。そして、本当にそのとおりになってしまいました。

突然送られてきた遺産分割協議書

昨年7月に義父が逝き、その翌月に、あとを追うように義母も亡くなりました。もう何年も顔も会わせてこなかった夫と義兄は、遺産分割(※1)の当事者として向き合うことになったのです。義母の葬儀の数日後、片づけをするために義父母の残した家に行くと、すでに義兄夫婦がいて、掃除を始めていました。義父の遺体を運び込んだときと同様、室内は雑然としていましたが、なにかが違う。家全体に、なんとなく人の手が入っているのです。何年間もあけられることのなかった引き出しと、だれかが最近あけた引き出しとは、中に入っている空気が異なるというか。数時間後、家の中に貴金属類など、お金になりそうなものがなにひとつ、不自然なほど残っていないことに気づいたとき、それは確信に変わりました。「お義姉さん、こちらの片づけには、もう何度も入られているのですよね?」「いいえ全然」と平然と言い放つ義姉。うそばっかり。

相続財産の確定(※2)をしないといけないと思って調べたんだけど…。ひと区切りがついたところで、義兄が預金通帳を手に近づいてきました。生命保険と預貯金を合わせて500万円がすべてだ、と義兄。遺言もなかったとのことでした。義兄が席を離れた隙をつき、夫は義母名義の通帳を広げ、目を走らせました。「これはなに?」。そこには、義母が亡くなってから連続5日間、限度額いっぱいまで預金が引き出されたことが記録されていました。あわてた義兄は「葬式代だよ。残りは、この家の片づけ費用。あとのことは俺たちがやるから、お前はもう帰っていいよ」と。そしてとってつけたように「香典は半分渡すから持ってけ」。「いや、けっこう」。なにか裏があると思ったのでしょう。ぶぜんとした表情で夫は断りました。義兄から「遺産分割協議書」が送られてきたのはそれから半年後のことです。内容は、遺産はすべて義兄が引き継ぐという一方的なものでした。無言の抵抗で送り返していませんが、このまま放っておいて果たして大丈夫なのかと内心不安でもあります。それにしても、2人きりの兄弟が遺産をめぐってこんなことになるなんて、悲しいです。

  • 弁護士・比留田さんからのアドバイス

このような一方的な遺産分割協議書は無視してかまいません。署名・捺印がないと困るのは義兄の方。財産を取得する気持ちがないのなら、放っておいてやきもきさせればいいのではないでしょうか。相続時の預金の残高証明をとれば、経費を引いたその半分を義兄に請求できますが、縁をきりたい気持ちが強いなら、無視するのがベストでしょう。

【解説】

※1:遺産分割
相続人が2人以上いるときには、遺産を分割しなくてはなりません。その方法は「指定分割」「協議分割」「調停・審判分割」の3つがあります。
指定分割は、被相続人が遺言で財産分割の方法を指定している場合、これに従って分割が行われます。遺言による指定が、法定相続(民法で決められた取り分のこと)による相続分と違っていても、原則としてこれに従います。ただし遺留分民法で定めた最低限度の相続分)の請求があった場合は、例外になります。
協議分割は、相続人が話し合いをして分割します。この話し合いを「遺産分割協議」といいます。ここでまとまらないときは、法定相続分に従います。
調停分割・審判分割は、遺産分割協議がまとまらないとき、家庭裁判所に調停を申し立てて行う分割です。調停が成立していない場合は裁判所の調査をもとに、家事審判官による分割が命じられます。

※2:財産の確定
相続手続きに入る前に、亡くなった人の遺産がどのくらいあるのかを調べることは必須。遺産を分割するにも、相続税の計算をするにも、財産の内容を明らかにする必要があります。土地・建物・預貯金・有価証券などのプラスの財産だけでなく、住宅ローンやカードローン、未払い金などのマイナス財産も、すべて種類別に一覧表をつくります。書き方に決まった様式はありません。負債の方が多かった場合は、相続を放棄することも可能。この場合、被相続人の借金を相続人が返済する義務はなくなります。

●教えてくれた人
【比留田薫さん】
弁護士。慶應義塾大学法学部卒業。相続、遺言書作成、任意整理などの民事全般を扱う。著書に『他人に話したくなる相続の話―誰も教えてくれない相続のオモテとウラ』『遺言の書き方と相続・贈与』(ともに主婦の友社刊)

<イラスト/中島梨絵 取材・文/ESSE編集部>