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「逆転無罪」を勝ち取ったとはいえ~三鷹バス痴漢冤罪の教訓」 に 冤罪事件のスペシャリストとして知られる今村核弁護士

 「無罪」はとても喜ばしいことだが、もろ手を挙げて喜べないのも、また確かだ。逮捕されてから2年半あまり。雪冤のために費やされた時間や生活やお金やエネルギーは、あまりに大きかった。

 走行中の路線バスの車内で痴漢をしたとして、東京都迷惑防止条例違反の罪で起訴された東京都三鷹市立中学校の教諭、津山正義さん(30)に、控訴審の東京高裁(河合健司裁判長)は7月15日、無罪を言い渡した。逮捕時から一貫して無実を訴え続けてきたにもかかわらず、1審の東京地裁立川支部(倉澤千巌〈ちいわ〉裁判官)は罰金40万円の有罪判決。ようやく勝ち取った逆転無罪だった。

 「主文、原判決を破棄する。被告人は無罪」

 河合裁判長が2度繰り返すと、傍聴席で小さなどよめきと拍手が起きた。しかし、津山さんは表情をほとんど変えず、裁判長をじっと見つめて判決理由に聴き入った。

 事件と裁判の経緯をおさらいしておこう。

 津山さんが逮捕されたのは、2011年12月22日夜。勤務先の中学校に忘れた財布を取りに戻ろうと吉祥寺駅から乗ったバスの車内で、前に立っていた面識のない女子高校生の尻をスカートの上から触った、というのが容疑だった。身柄拘束は28日間に及んだが、警察で「私の仕事は君を有罪にすること」と威圧され、検察で「認めないなら出さない」と脅しをかけられても、津山さんは「自白」しなかった。

 そもそも、この事件には犯行を裏づける客観的な証拠がなかった。逮捕当夜に警察が実施した微物鑑定では、津山さんの手から女子高校生のスカートの繊維片は検出されなかった。バスの車載カメラにも尻を触る場面は写っていないし、他の乗客はもとより当の女子高校生でさえ痴漢の瞬間を見てはいない。犯行があったとされた時間帯に、津山さんが交際相手へのメールを打つために右手で携帯電話を操作していたことは、送受信記録や車載カメラの映像で裏付けられている。

 津山さんは「左手は吊り革をつかんでいたので犯行は不可能で、お腹に抱えていたリュックが当たったのを勘違いされた」と無罪を主張していた。

 しかし、2013年5月の1審判決は、被害者の証言だけに依拠し、独自の論理で有罪判決を導く。

 「右手で痴漢行為をすることは不可能と言うに近い」と認めながら、左手が吊り革を持っていると車載カメラで確認できるのは一部の時間帯だけだとして、「それ以外の時間帯の左手の状況は不明である」と指摘し、「左手犯行説」を打ち出したのだ。揺れるバスの車内で吊り革につかまらず、右手で携帯電話を操作しながら左手で執拗に尻を触ることは「容易ではないけれども、それが不可能とか著しく困難とまでは言えない」と断じ、客観的な証拠がないまま可能性論と推理で有罪を言い渡してしまった(拙稿「『犯行が不可能とまでは言えない』という論理で導かれた有罪判決」参照)。

 津山さんが到底納得できるはずはなく、東京高裁に控訴して、ようやく獲得した無罪判決だったのだ。

 さて、1審判決を「論理則や経験則に反し不合理」と切って捨てた高裁判決の構成は、シンプルである。河合裁判長が無罪の拠り所にしたのは、車載カメラの映像解析だった。

 控訴審にあたって弁護団は、映像解析の専門家である橋本正次・東京歯科大教授に鑑定を依頼した。1審でも鑑定をした橋本氏は、さらに車載カメラの映像を鮮明化処理して分析し、「1審段階で不明とされた時間帯にも津山さんの左手は吊り革をつかんでいる」「バスが揺れている時に津山さんのリュックが女子高校生に当たっている」との結果を出した。ちなみに、橋本氏は「自分が正しいと思う方にしか付かない」そうで、事件によっては検察の鑑定をすることもあるという。

 控訴審では2回にわたって橋本氏の証人尋問が行われた。これを受けて高裁判決は「相応の合理性がある」と鑑定の信用性を認め、「痴漢行為をしていない合理的な根拠となる」と述べた。

 具体的には、まず「右手」で犯行ができたかについて、車載カメラの映像から、犯行があったとされる時間帯のほとんどで右手は携帯電話を操作していたとして、「右手で犯行が不可能との判断は正当」「不審な動きは認められない」と述べた。ここまでは1審判決でさえ示しているから、当然と言えば当然だろう。

 問題は「左手」である。高裁判決は、1審でも認定した20秒間に加えて、他の時間帯でも吊り革をつかんでいたことが確認できるとした映像解析を、客観的な証拠と捉えた。つまり、津山さんの主張の正当性を受け入れたわけだ。そのうえで「犯行を行ったとは認めがたい」と判断した。

 1審判決の「容易ではないけれども、それが不可能とか著しく困難とまでは言えない」との理屈づけを「論理が飛躍している」と批判。「左手犯行説」に対して「証拠判断を誤ったもの」「無理がある」とはねつけた。極めて常識的な論理だと思う。

 女子高校生が「被害」を訴えた理由についても「リュックの接触を勘違いした疑いが残る」と津山さんの主張を採用した。そして、「(津山さんの犯行には)合理的な疑いが残る」「1審判決には事実誤認がある」「犯罪の証明がない」として、無罪と結論づけた。津山さんの全面勝訴と言って良い。

 判決言い渡しが終わると、津山さんは裁判長に深々と一礼。裁判所前で待つ大勢の支援者の前で「本当に良かったです」と繰り返し、「誰が読んでも納得できる理路整然とした判決。こういう裁判官が広がって、私のような思いをしない人が増えてくれたらいい」と力を込めた。

 判決後の報告集会。

 弁護人の1人で、冤罪事件のスペシャリストとして知られる今村核弁護士は、1審判決の認定を一つずつ潰していった高裁判決を「プチプチのようだ」と表現した。菓子などの包装に使われるエアクッションのことだ。「すごく当たり前のことを述べた判決」と評価し、「聞いていて楽しく、裁判長が神々しく見えた。1審判決で司法に対するかすかな信頼が失われて悲しかったが、それが解けた。これからも冤罪弁護人をやっていける」と明るく話した。

 それにしても、と思わずにはいられない。

 報告集会で津山さんは、改めて逮捕・起訴された当時の様子を振り返った。「何が起きているのかわからなかった。なんでこんな目に遭うのかと思って、警察の留置場で涙を流した。なんでこんなにつらい思いをするのかと、釈放されてからも1週間は部屋に引きこもっていた」と。

 念願の中学教師になって2年目にこの事件に巻き込まれ、担当していた3年生の入試や卒業にも立ち会えなかった。それだけではない。2年半にわたって「刑事被告人」の立場に置かれ、起訴休職を余儀なくされた。教壇に立つ代わりに、連日駅頭に立って無実の訴えを続けざるを得なかった。20代後半のエネルギッシュな時期に、無念さはいかばかりだっただろう。

 津山さんは、こんな問題提起もしていた。

 「無罪の証明を私たちに課しているのは、おかしい。もう少し正しい裁判をしてもらうきっかけにならないだろうか」。そう、裁判には検察が有罪の根拠となる客観的な証拠を出すべきで、それができていない以上は、たとえ疑わしい状況があっても無罪にするのが刑事司法の鉄則のはず。なのに「疑いをかけられた側が無罪の証拠を示せなければ、有罪」になっているとの実感である。

 今も絶えない冤罪事件を見ていると、司法関係者はもとより、私たち一般市民も真剣に耳を傾けるべき指摘に違いない。冤罪に巻き込まれる可能性は誰にでもあることを忘れてはなるまい。

 救いなのは、津山さんが「裁判を通じて得た強さを持って学校に戻りたい」と、将来に前向きの姿勢を示していたことだ。自分に逆らっていた教え子たちが、冤罪の主張を信じてくれていることを知り、「子どもたちは背中を見ている。気持ちが届くとわかった」という。「これまで以上に頑張る」との決意があればこそ、きっといい先生になるだろう。

 もちろん、無罪はまだ確定したわけではない。検察は判決から2週間以内に、最高裁に上告することができるからだ。津山さんの支援者は、東京高検に「上告しないで」と電報を打つ運動を展開している。有罪判決の構造が根底から崩されたのだから、検察はこれ以上裁判を長引かせて津山さんの貴重な時間を奪ってほしくない。上告を断念し、一刻も早く津山さんが教壇に戻れることを切に願いたい。

 

  

※コメントは承認制です。
第32回
「逆転無罪」を勝ち取ったとはいえ~三鷹バス痴漢冤罪の教訓
」 に3件のコメント

  1. magazine9 より:

    「もろ手を挙げては喜べない」と著者が言うように、無罪が証明されても、失われた時間は戻ってきません。周囲の環境によっては、仕事や人間関係を失い、取り戻せないケースもあるでしょう。「逮捕」「有罪」の言葉は、「間違いだった」では済まされないほどに重い、と改めて思わされます。今週の「鈴木邦男の愛国問答」でも、冤罪の疑いが指摘されている「和歌山カレー事件」が取り上げられていますが、「推定無罪」の原則に立ち返って、冤罪を防ぐための新たな仕組みづくりが、早急に求められるのではないでしょうか。

  2. 萬 安富 より:

     裁判官には、頭の良い人がなった方がいいと思います。

    法律には全然詳しくありませんが、失った物が多すぎます。

    損害賠償???とか、名誉棄損???とか訴えて裁判をしたほうがいいと思います。

  3. 通りすがりの者です。 より:

    もし、地裁と高裁の裁判長が入れ替わっていたらと思うとゾッとする。
    1審無罪~2審有罪の可能性だってある。
    最高裁まで行っていたら、どうなるんだろう。
    この先生の人生は無茶苦茶になる。

今村核(弁護士)が凄い!冤罪と裁判の内容

https://trendjack.net/3211.html

以下記事転載

今村核(弁護士)が凄い!冤罪と裁判の内容は?感想とネタバレも。

 

日本の刑事裁判の有罪率は99.9%。無罪判決は1000件に1件あるかどうか。ほぼ全てが有罪判決となる中、弁護士の今村核氏はこれまで14件の無罪判決を獲得し、「冤罪弁護士」の異名を持っています。今回は日本の刑事裁判で20年以上にわたり携わってきた今村氏についてご紹介します。

 
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今村核 プロフィール

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  • 名前:今村 核(いまむら かく)
  • 学歴:東京大学法学部卒
  • 趣味:将棋、生物学を学ぶこと
  • モットー:「証明の科学化」を考えて行きたい

今村核の父親と弁護士を志した理由

今村氏の父親は大手化学企業の副社長で、今村氏は父親について「世の中の見方が大企業中心の見方で弱者に対してあまり視点がなかった。ものすごく嫌なやつに見えていた」と話しています。

大学進学後、今村氏は自宅を出て一人暮らしを始め、それ以降家族と連絡を取らなくなったのだとか。

今村氏は言わば父親を反面教師として弱者を守ろうとする気持ちが培われたのかも知れませんね。

今村氏が弁護士を志した理由は「弱くさせられている人々とともに闘う職業を探したが弁護士ぐらいしか思いつかなかった」との事。

26歳で司法試験に合格し、修習生の時に1人も無罪にならなかった刑事裁判をみた今村氏は弁護人はあきらめているように感じた。この状況を変えてやるという気負った気持ちを持ったのだそうです!

その志しを礎に、「証明の科学化」を考えて行きたいというモットーが今村氏の弁護スタイルで、通常裁判の何倍もの労力をかけて科学的事実を立証し矛盾や盲点、新事実を発見します。

『有罪率99.9%』と、勝てる見込みが限りなく低いのに弁護報酬は平均以下だという事にも驚きです。それでもなお、『有罪率99.9%』に立ち向かう今村氏は冤罪の救世主ですよね。

痴漢の冤罪で立件されたら今村氏を頼りましょう。

今村氏はこれまでの弁護の経験から『冤罪弁護士』(旬報社 2008年)、『続・痴漢冤罪の弁護』(現代人文社 2009年 共編著)、『冤罪と裁判』(講談社現代新書 2012年)を執筆しています。

『冤罪と裁判』の内容は?

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2012年発刊の『冤罪と裁判』。数多くの冤罪事件を手がけ、多くの無罪を勝ち取ってきた刑事弁護士が語る、「冤罪はなぜ起きるのか」「裁判員裁判は何を変えるのか」 著者の経験と情熱がにじむ、司法を考えるための必読書です。

構成

第1部 冤罪はこうして生まれる―冤罪の事件簿

第1章 虚偽自白

第2章 目撃者の証言

第3章 偽証

第4章 物証と科学鑑定

第5章 情況証拠

第2部 裁判員制度で冤罪を減らせるか

第6章 日本の刑事裁判の特色

第7章 裁判員制度の導入で、日本の刑事裁判の特色は変わりつつあるか

第8章 判決文を通して、裁判員裁判の特色を読み解く

第9章 冤罪・誤判防止のために、裁判員制度はどう変わるべきか

講談社現代新書 定価:本体800円(税別) 

『冤罪と裁判』の読者の感想

冤罪と裁判の読者の感想をご紹介します。

間違いなくこの一冊が俺の理転に大きく一役買っている。当たり前のようにあるもの、警察や裁判。それを疑うことは普通はない。しかしながら、絶対的なものほど疑わなくてはいけない。自分たちの生活に絶対的にある警察や裁判を疑う一つの機会になってくれる本。

裁判員裁判が始まって3年だが,個人的には裁判員裁判ができて良かったと思っている(変えるべき部分はあるけれど)。本書は,これまでの刑事裁判でどのように冤罪が作られてきたか,様々な事例を挙げながら説明している。捜査機関の不正も問題であるが,それを見抜けない裁判官,有罪推定でしか事実認定できない裁判官の存在の方が大きい問題のように思える。

冤罪、ある日突然、警察、検察官僚国家権力によりなにげない日常生活をメチャクチャにされてしまう。こんな理不尽なことがなぜ起きてしまうのか。弁護士登録をしてから20年間、冤罪事件を担当してきた筆者の力作である。日本の刑事裁判の構造的なあり方、そして、結局、検察、検察と同業者としての裁判官の人事制度、同じ穴の狢が起こしてしまう「冤罪」。裁判員制度は、裁判官に負担をかけられないというようなことでは、ますます、冤罪を拡大再生産させてしまうこととなってしまう。以上のような歪みを是正すべく、最後に提言が述べられている。より多くに市民に読んでもらいたい力作だ。

読んでいて楽しい本ではない。我が国の司法制度の元で、冤罪事件の当事者にならないためにできることは、ただ祈るだけかもしれない。弁護士である筆者が経験し、また、見聞きし調べた事件の実例を挙げて、どのように冤罪事件が作り上げられ、無辜の市民が犯人に仕立てあげられ、罪を自白し証人が偽証するのかを分析している。正にいま行われているPC成りすまし事件においても、容疑者が求める取り調べの可視化は妨げられ、冤罪の被害者に自白を強要した警察官、検察官たちは罪に問われること無く自由に罪を重ねている。更に、裁判員裁判においても、公判前整理手続きというなのもとに、恣意的な証拠隠滅や誘導が行われている危険性があると指摘する。

あとがき

今回は冤罪弁護士こと、今村核弁護士についてご紹介しました。

『冤罪と裁判』の感想でもありましたが、今村氏が無罪を勝ち取った冤罪はごく一部であり、氷山の一角に過ぎない可能性が高いです。

今村氏の今後の活躍をお祈りすると共に、今村氏の様な正義の味方の弁護士が増えてくれる事を切に願っています。

「今村核著 冤罪弁護士」

以下記事転載

貴方はいつ冤罪を受けるかもしれない!「今村核著 冤罪弁護士」 ( 事件 ) - 忠さんの徒然草 - Yahoo!ブログ

8月末の或る書評ウェブで、この本が出ていた。
確かに、時々痴漢に間違えられたなどの冤罪で長い時間苦しまれた方の記事を見ることがある。

 

昨日UPした「?????」ではイギリスは余りに冤罪が多いので死刑を廃止したらしいが・・・

 

来年からの裁判員制度導入を控え、一度裁判や調査の実態がどんな物かを読んで見たいと借りてみた。

 

読んでビックリした!これでは、実際に冤罪で苦しんでいる人が実際は、もっと大勢いるのではないか?
一度、間違えられると、それを是正することが如何に難しいか、一度誤解した被害者や証人がそれを間違いと認めることが如何に少ないか!

 

「日本の刑事裁判の有罪率が99.9%を超えることはあまり知られていない」と書かれているが、確かに、外国の探偵物映画を見ても、日本のTVでも事件物を見ると、真犯人の他に、誤認逮捕される例が多くでてくる。まあ、それが実際なのではないかと思うと、この有罪率99.9%以上と言うのは、別の見方をすれば、意外と実際は犯人で無い人が冤罪であることを証明できないで罪をかぶったままと言う事も考えられると、気がつくと怖くなった。
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旬報社ホームページ」より
【著者プロフィール】
今村 核(いまむら・かく) 1962年生まれ。
東京大学法学部卒業、1992年弁護士登、録(第二東京弁護士会所属)。
冤罪事件、労働事件のほか、群馬司法書士会事件、保土ヶ谷放置死事件などを担当。現在、自由法曹団司法問題委員会委員長。

 

【著者からのメッセージ】
日本の刑事裁判の有罪率が99.9%を超えることはあまり知られていない。
「司法統計年表」で起訴された人員と無罪判決を受けた人員を比べると、1950年ころは大体60人に一人が無罪判決を受けていた。1960年から1975年までは200人に1人になった。80年から90年は500人から1000に1人に減り、2000年ころになると、大体1000人から2000人に1人に減る。胸が痛くなる数字だ。

 

こうした無罪率の減少は、かつては無罪とされた事件が現在では有罪とされることを示している。ここ数年、無罪判決を受ける人々は年間数十名ほどしかいない。しかし無実であるのに有罪判決を受けている人々の数は、それよりかなり多いのではあるまいか……。

 

ふつう刑事裁判はどこか遠い世界のことと感じられ、たまに新聞やテレビが冤罪事件を報道しても、日常生活との結びつきは感じにくいかもしれない。

 

しかし私の経験では、ごくふつうの暮らしをしている人々が、冤罪の犠牲にされている。日常生活のとなりには見えない陥穽が口をあけており、無関心は、その陥穽を広げるであろう。

 

死刑などの大事件ではなく、たとえば罰金だとか軽い懲役刑、執行猶予がついたりする事件では、たとえ無実であっても、被告人は司法に絶望をしてたたかいをあきらめる。こうして冤罪・誤判が闇に葬られている。わが国の刑事裁判が、無実の被告人にとって、どんなに冷たい姿で聳え立っているのか、自分が被告人とされて初めて知ることになるのが現状だ。

 

しかし、これでは同じカラクリがいつまでも続いてしまう。

2009年度から裁判員制度が始まる。さいわい刑事裁判に対する市民的な関心は高まりつつあるようだ。ただ法曹界の動きは、「市民の負担を軽くするため、どうやって裁判を早く終わらせるか」という方向に流れつつある。しかし冤罪・誤判への反省抜きに「裁判を早く終わらせる」ことばかり志向すれば、状況はより深刻化する。そこに「もし選ばれてしまっても負担は軽いですよ」とのニュアンスが含まれていれば、刑事裁判そのものと、市民に対する驕りが感じられる。

 

私は今こそ、刑事裁判の基本的なしくみや理念、そして運用の実情、とりわけ「無実の人が有罪にされる」ことが決して少なくないことを現場から伝えることが必要だと思う。
 
【主な目次】
はじめに
第1部 冤罪の現場
1 地下鉄半蔵門線で間違えられた男
解説 目撃証言の誤り
2 「浅草四号」事件
解説 警察官による偽証と証拠の捏造
3 奇妙な同級生の事件
解説 「人→物型捜査」か、「物→人型捜査」か
4 「起訴前弁護活動」の一事例
解説 起訴前の国選弁護制度
5 寿司店の放火事件と虚偽自白
解説 なぜ虚偽自白がうまれるのか
6 外国人風の男
7 痴漢に間違われた予備校生
解説 痴漢冤罪 ――この10年と誤判の特色
8 はめられた男

第2部 なぜ冤罪がうまれるのか ――日本の刑事手続
1 捜査
2 公訴の提起
3 公判手続
4 証拠
5 第一審判決
6 控訴審
7 上告審
8 再審制度
9 改正刑事訴訟法
あとがき





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読んで行くにつれ怖さが増して来ました。いつか突然、身に憶えのない罪を着せられ、罪の無いことを証明するのに莫大な時間と経費とエネルギーが必要になってしまうことが有り得ると言う事が、身震いが出るほどに怖い!
それでも冤罪が証明できれば幸い。出来ないケースのほうが多そうだ

 

余りに多いのでほんの少しだけ事例で・・で引用しますと



1 地下鉄半蔵門線で間違えられた男
解説 目撃証言の誤り
・・被害者が、サングラスを特徴として強く記憶していたために、似たようなサングラスをかけていた人が犯人だと指示されてしまい、一審で有罪。弁護人の必死の努力で、やっと高裁で無罪となれた。間違った指摘をした被害者?は罪を問われたとは書いてない!

 

2 「浅草四号」事件
解説 警察官による偽証と証拠の捏造
・・夜の周囲の窓に黒色フィルムを張った車の正面から見た2名の警官が、薄暗い中でうろ覚えの人相で、冤罪をこうむった人を指示した。が、警官の証言を覆すのは大変!しかも、その偽証をホンモノらしく見せるための証拠の捏造まで警察はした。アリバイの証明と黒色フィルムを張った車の正面ガラスからの照度では人相の判別は付かないという証明ををして、無罪を勝ちとったが裁判官の警官が偽証しないという思い込みを覆すのは大変。実際は、警官が間違えたり、仲間同士でかばったりするのは時々ニュースになることもあるから結構あることなのだろう。
本当に怖い!

 

3 奇妙な同級生の事件
解説 「人→物型捜査」か、「物→人型捜査」か
・・目障りなスクーターを追い抜き、口論となった。頬を軽く触れた。ところが1時間以上たって110番通報され、触られた人の家に来た警官に殴られたと訴えた。言葉だけで写真も目視記録も無し。副検事の取調べの経過で、「触れた」から「叩いた」に、さらに「殴った」調書が変えられていく。ヘルメットを被った上から殴られたという証言のまま裁判に、実際に裁判所の構内で「検証」して、やっと無罪に。ヘルメットの上からなぞ殴る人は居ないということは最初から判った筈なのに、警官が通報を受けいい加減な報告書を書き、告発されるとここまで行ってしまい、さらに検事がその気になると更にでっち上げ?が進んでしまうというのがなんとも怖い。嘘の通報をするはずが無い。警官がうそを書くはずが無い!検事がでっちあげをするはずが無いという世の常識?が実際の世の中と違うという事実が怖い!
しかも、この無罪判決を出す為に、判事は実際に自分の奥様を殴ってみて、確認して、やっと無罪を宣告できたとの事。無罪を宣告することが判事にとって厳しい事らしいとわかって、益々冤罪が怖い!

 

5 寿司店の放火事件と虚偽自白
解説 なぜ虚偽自白がうまれるのか
・・突然連行され、先ずポリグラフで反応していると言われ、否認すると、20日間の拘留と妻まで逮捕すると脅かされ、自分で自宅に放火したとウソの自白を強いられた。ウソの自白に見合った鑑定書を警察は作った。東邦大学の教授が警察の意向に沿ったウソ?の鑑定をした。

 

6 外国人風の男
・・痴漢をされた被害者の女子高校生の思い込みで、真犯人?の隣にいたサラリーマンが犯人とされ、一審有罪、2年半かかってやっと無罪を証明。被害者が直後に犯人と思い込むと、それを押し通すから、覆すのは大変だと判ったが、そう誤解され無い様にするのは難解!
間違えた女子高生の責任はどうなったのだろうか?書いてないが、サラリーマンの人生は酷い衝撃を受けた筈。これも怖い話だ。

 

7 痴漢に間違われた予備校生
解説 痴漢冤罪 ――この10年と誤判の特色
・・予備校生が痴漢したと女子高生に手をつかまれ、逮捕された。以前痴漢された時に警察官から「痴漢中の手をつかめ」と指導されていたから、痴漢中で無く直後に、そうと思った予備校生の手をつかんだらしい。矛盾を見つけ出し、女子高生の思い違いを正し「非行事実なし」の決定までに5ヶ月掛かった。映画の探偵物以上の弁護士たちの捜査活動でやっと訂正できたが、これも女子高生の思い込みだった。

 

8 はめられた男
・・会社が懲戒解雇をするための口実つくりをしたという話。上司の車を足で蹴って破損させたと起訴された。
 一審は有罪。まさか会社がそこまでするとは思っていない判事が常識的?に解釈したらしい。弁護人の捜査で、反論点を見つけ高裁で無罪。
 客観的な証拠よりも、検察側の供述を重視したらしい。いわゆる世の中は、個人よりも会社を正しいと見る常識?があるらしい。最近の多くの偽装事件を思い出すだけでも、正直な個人のほうが、曲がった会社・経営者より信頼できるのに・・変な常識が怖い!



今の世の中、本当に怖いことだらけですね。
女子高生の思い込みによる痴漢冤罪は時々ニュースになりますが、その種の思い込みや、警官や検察官の思い込みで、犯人にされるのが、或いは警察・検察の実績を挙げる?爲にか、一度犯人扱いすると、それを押し通そうとする、間違いを訂正したがらない習性があるらしいのが一層怖い。
外国映画でも、よく悪徳警官の話が出てくるが、今の日本もそうなりつつあるのだろうか。何か身震いがしてくる。

 

今村弁護士さん。本当にごくろうさまです。貴方のような弁護士が居ることが救いです。
ありがとうございます。どうか健やかに健闘を続けてください。

今村核(いまむら・かく)弁護士えん罪の過酷な現実 偉業を成し遂げても「変わり者」「異端者」扱い

以下記事転載

「99.9」で描かれない えん罪弁護士の過酷な現実 - 日経トレンディネット

連載佐々木健一「TVクリエイターのミカタ!」

「99.9」で描かれない えん罪弁護士の過酷な現実

TVクリエイターのミカタ(23)

2018年04月02日

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『哲子の部屋』『ブレイブ 勇敢なる者「硬骨エンジニア」』など、独自の切り口のテレビ番組を企画・制作するNHKエデュケーショナル佐々木健一氏が展開するコンテンツ論の第23回。

 前シリーズに続いて高視聴率をたたき出したドラマ、日曜劇場『99.9 -刑事専門弁護士- SEASON II』(TBS系)は、“有罪率99.9%”という日本の刑事司法で、逆転不可能と思われる刑事事件に挑む弁護士たちの奮闘を描いている。

 だが、これはあくまで架空のドラマの話。現実に“有罪率99.9%”に挑み続けたら、その弁護士は果たしてどうなるのか。その過酷さは、あまり知られていない。

 私は以前、企画・制作しているNHKのドキュメンタリー特番『ブレイブ 勇敢なる者』シリーズの第2弾「えん罪弁護士」で、20年以上刑事弁護に取り組み、これまでに無罪判決を14件も獲得してきた今村核(いまむら・かく)弁護士を取材した。

 大きな反響を受けてこのたび、未放送部分も含めた100分特別版として、『BS1スペシャル』枠で「えん罪弁護士・完全版」が放送されることとなった(4月15日22:00~23:49(NHKBS1)にて放送予定)。

(C)NHK
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偉業を成し遂げても「変わり者」「異端者」扱い

(C)NHK
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 「無罪14件」というのは、法曹界の人間が聞けば誰もが驚嘆するような実績だ。約1000件に1件しか無罪判決が出ない日本の刑事裁判。まだ50代半ばの今村が、すでに14件もの無罪判決を得ている事実は紛れもない偉業である。しかし、それほどの実績を挙げながら、当の今村は浮かない表情でこんな本音を吐露した。

 「僕、若い頃は“変人”みたいにいわれたこともありますからね。『あいつは、えん罪弁護が生きがいで、好きでやってるんだ』と。そういう道楽にふけっている。そんなふうに見られている節もあるんですよね……」

 有罪率99.9%に挑む“えん罪弁護士”は、世間が抱くイメージのように、無実の罪を着せられた人を救う“正義のヒーロー”としてたたえられているわけではない。むしろ、法曹界では「変わり者」「異端者」と見られていた。

 罪を認め、情状酌量を求める事件と違い、本格的に無罪を争う「否認事件」の弁護は、勝てる可能性が限りなく低く、もし無罪を勝ち得ても十分な報酬が得られるわけでもない。ドラマ『99.9』で描かれるようなえん罪事件の弁護は、たとえ“人権派弁護士”であっても、容易には手が出せない領域なのだ。

 例えば、消費者金融に関する事件や労働事件などの民事事件は、しっかりと弁護報酬を得ることができる。あるいは、有名タレントや政治家などのプライバシー保護に関する弁護なら、依頼人に財力があるため、十分な報酬を得ることも可能だ。しかし、刑事弁護の場合、ほとんどの被告人は多額の弁護費用を払えるほどの資財を持っていない。

 そうした経済的な問題に加え、私が取材を通して驚かされたのは、無罪を得るためのあまりに膨大な“手間”だ。

 法廷ドラマの場合、最大の見せ場は「弁護士がいかに被告人の無実を立証するか」だろう。だが、そもそも刑事裁判の原則は、「疑わしきは罰せず」である。立証責任があるのはあくまで検察側で、検察が“有罪の立証”に失敗すれば、本来は無罪になるはずなのだ。弁護側は検察の立証の綻びを突けばいい。しかし、現実にはそれだけで無罪になることはまずない。今村が語った言葉が今も耳に残っている。

 「立証の方針は、できるだけ客観的、かつ科学的な方法を考えるわけです。『それなら、さすがに文句は言えない』というところまで持っていくのが理想なんですが……、弁護人にそこまでやる義務なんて本来ないんですよ。だから、過重な負担なんです。でも、それが現実ですから、仕方なくやっているんです」

(C)NHK
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なぜ今村弁護士は「えん罪弁護」を続けるのか?

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 弁護側がさまざまな証拠や専門家による鑑定書を裁判所へ提出し、積極的に“無罪の立証”まで行わなければ、日本の刑事裁判では到底、無罪判決を得ることはできない。実際、今村は緻密な立証を積み重ねて無罪を得てきた。しかし、そうした弁護活動を展開すればするほど、報酬につながる他の事件には手が回らなくなる。

 取材中に、ふと今村に「先生の専門(領域)は何ですか?」と尋ねた。当然、「刑事弁護専門です」などと答えると思い、軽い気持ちでこの質問を投げかけた。すると、今村は突如、「もう答えたくない」と言って体全体で不快感をあらわにした。後日、その理由を尋ねるとこう語った。

 「まぁ、『えん罪弁護が専門だ』とか言ってしまっては、弁護士業務が成り立っていくわけがございませんので……。えん罪弁護一色の人間に思われて、他の事件の依頼が来なくなるのは困るなと思ったんです」

 ドラマのタイトルにも掲げられている「刑事専門弁護士」という言葉は、本気で刑事弁護に取り組んでいる弁護士ほど言いたがらない、という現実に言葉を失った。それほど“有罪率99.9%”の壁に挑み続けることは、苦難の連続なのだ。

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 では、なぜ、今村核は、それでも「えん罪弁護」を続けるのか?

 取材を通して、私が抱いた疑問はその一点だった。0.1%の無罪判決を得ても経済的に恵まれず、弁護士仲間からは“変人”のように見られ、やればやるほど自分の首を絞めて称賛を浴びることも少ない。それなのに続ける理由は何なのか。

 「私が生きている理由、そのものです」

 この答えに込められた覚悟を是非、多くの人に知ってほしい。今村はこれまで、刑事司法の現状に対する“世間の無知”とも闘ってきたのだ。

BS1スペシャル『ブレイブ 勇敢なる者』「えん罪弁護士」完全版 
2018年4月15日(日)22:00~23:49(NHKBS1
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佐々木 健一(ささき・けんいち)

1977年、札幌生まれ。早大卒業後、NHKエデュケーショナル入社。ディレクターとして『ブレイブ 勇敢なる者』シリーズ(NHK)、『ヒューマン・コード』(フジテレビ)などの特別番組を企画・制作。『ケンボー先生と山田先生』で第30回ATP賞最優秀賞、第40回放送文化基金賞優秀賞、『哲子の部屋』で第31回ATP賞優秀賞、『Dr.MITSUYA』で米国際フィルム・ビデオ祭 2016ドキュメンタリー部門シルバースクリーン賞、『Mr.トルネード』で科学ジャーナリスト賞2017、『えん罪弁護士』で第54回ギャラクシー賞選奨などを受賞。書籍では『辞書になった男』(文藝春秋)で第62回日本エッセイストクラブ賞、『神は背番号に宿る』(新潮社)で第28回ミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。最新刊は『Mr.トルネード』(文藝春秋)。詳しくはインタビュー記事「『辞書』から『えん罪』まで ドキュメンタリー界の“異端児”佐々木健一とは何者か?」 「ベッキーの『勘』、清水富美加の『才』 異能のテレビマンを驚かせた『ふたりの天性』」 を参照。

今村核(いまむら・かく)弁護士えん罪の過酷な現実 偉業を成し遂げても「変わり者」「異端者」扱い

以下記事転載

「99.9」で描かれない えん罪弁護士の過酷な現実 - 日経トレンディネット

連載佐々木健一「TVクリエイターのミカタ!」

「99.9」で描かれない えん罪弁護士の過酷な現実

TVクリエイターのミカタ(23)

2018年04月02日

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『哲子の部屋』『ブレイブ 勇敢なる者「硬骨エンジニア」』など、独自の切り口のテレビ番組を企画・制作するNHKエデュケーショナル佐々木健一氏が展開するコンテンツ論の第23回。

 前シリーズに続いて高視聴率をたたき出したドラマ、日曜劇場『99.9 -刑事専門弁護士- SEASON II』(TBS系)は、“有罪率99.9%”という日本の刑事司法で、逆転不可能と思われる刑事事件に挑む弁護士たちの奮闘を描いている。

 だが、これはあくまで架空のドラマの話。現実に“有罪率99.9%”に挑み続けたら、その弁護士は果たしてどうなるのか。その過酷さは、あまり知られていない。

 私は以前、企画・制作しているNHKのドキュメンタリー特番『ブレイブ 勇敢なる者』シリーズの第2弾「えん罪弁護士」で、20年以上刑事弁護に取り組み、これまでに無罪判決を14件も獲得してきた今村核(いまむら・かく)弁護士を取材した。

 大きな反響を受けてこのたび、未放送部分も含めた100分特別版として、『BS1スペシャル』枠で「えん罪弁護士・完全版」が放送されることとなった(4月15日22:00~23:49(NHKBS1)にて放送予定)。

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偉業を成し遂げても「変わり者」「異端者」扱い

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 「無罪14件」というのは、法曹界の人間が聞けば誰もが驚嘆するような実績だ。約1000件に1件しか無罪判決が出ない日本の刑事裁判。まだ50代半ばの今村が、すでに14件もの無罪判決を得ている事実は紛れもない偉業である。しかし、それほどの実績を挙げながら、当の今村は浮かない表情でこんな本音を吐露した。

 「僕、若い頃は“変人”みたいにいわれたこともありますからね。『あいつは、えん罪弁護が生きがいで、好きでやってるんだ』と。そういう道楽にふけっている。そんなふうに見られている節もあるんですよね……」

 有罪率99.9%に挑む“えん罪弁護士”は、世間が抱くイメージのように、無実の罪を着せられた人を救う“正義のヒーロー”としてたたえられているわけではない。むしろ、法曹界では「変わり者」「異端者」と見られていた。

 罪を認め、情状酌量を求める事件と違い、本格的に無罪を争う「否認事件」の弁護は、勝てる可能性が限りなく低く、もし無罪を勝ち得ても十分な報酬が得られるわけでもない。ドラマ『99.9』で描かれるようなえん罪事件の弁護は、たとえ“人権派弁護士”であっても、容易には手が出せない領域なのだ。

 例えば、消費者金融に関する事件や労働事件などの民事事件は、しっかりと弁護報酬を得ることができる。あるいは、有名タレントや政治家などのプライバシー保護に関する弁護なら、依頼人に財力があるため、十分な報酬を得ることも可能だ。しかし、刑事弁護の場合、ほとんどの被告人は多額の弁護費用を払えるほどの資財を持っていない。

 そうした経済的な問題に加え、私が取材を通して驚かされたのは、無罪を得るためのあまりに膨大な“手間”だ。

 法廷ドラマの場合、最大の見せ場は「弁護士がいかに被告人の無実を立証するか」だろう。だが、そもそも刑事裁判の原則は、「疑わしきは罰せず」である。立証責任があるのはあくまで検察側で、検察が“有罪の立証”に失敗すれば、本来は無罪になるはずなのだ。弁護側は検察の立証の綻びを突けばいい。しかし、現実にはそれだけで無罪になることはまずない。今村が語った言葉が今も耳に残っている。

 「立証の方針は、できるだけ客観的、かつ科学的な方法を考えるわけです。『それなら、さすがに文句は言えない』というところまで持っていくのが理想なんですが……、弁護人にそこまでやる義務なんて本来ないんですよ。だから、過重な負担なんです。でも、それが現実ですから、仕方なくやっているんです」

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なぜ今村弁護士は「えん罪弁護」を続けるのか?

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 弁護側がさまざまな証拠や専門家による鑑定書を裁判所へ提出し、積極的に“無罪の立証”まで行わなければ、日本の刑事裁判では到底、無罪判決を得ることはできない。実際、今村は緻密な立証を積み重ねて無罪を得てきた。しかし、そうした弁護活動を展開すればするほど、報酬につながる他の事件には手が回らなくなる。

 取材中に、ふと今村に「先生の専門(領域)は何ですか?」と尋ねた。当然、「刑事弁護専門です」などと答えると思い、軽い気持ちでこの質問を投げかけた。すると、今村は突如、「もう答えたくない」と言って体全体で不快感をあらわにした。後日、その理由を尋ねるとこう語った。

 「まぁ、『えん罪弁護が専門だ』とか言ってしまっては、弁護士業務が成り立っていくわけがございませんので……。えん罪弁護一色の人間に思われて、他の事件の依頼が来なくなるのは困るなと思ったんです」

 ドラマのタイトルにも掲げられている「刑事専門弁護士」という言葉は、本気で刑事弁護に取り組んでいる弁護士ほど言いたがらない、という現実に言葉を失った。それほど“有罪率99.9%”の壁に挑み続けることは、苦難の連続なのだ。

(C)NHK
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 では、なぜ、今村核は、それでも「えん罪弁護」を続けるのか?

 取材を通して、私が抱いた疑問はその一点だった。0.1%の無罪判決を得ても経済的に恵まれず、弁護士仲間からは“変人”のように見られ、やればやるほど自分の首を絞めて称賛を浴びることも少ない。それなのに続ける理由は何なのか。

 「私が生きている理由、そのものです」

 この答えに込められた覚悟を是非、多くの人に知ってほしい。今村はこれまで、刑事司法の現状に対する“世間の無知”とも闘ってきたのだ。

BS1スペシャル『ブレイブ 勇敢なる者』「えん罪弁護士」完全版 
2018年4月15日(日)22:00~23:49(NHKBS1
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佐々木 健一(ささき・けんいち)

1977年、札幌生まれ。早大卒業後、NHKエデュケーショナル入社。ディレクターとして『ブレイブ 勇敢なる者』シリーズ(NHK)、『ヒューマン・コード』(フジテレビ)などの特別番組を企画・制作。『ケンボー先生と山田先生』で第30回ATP賞最優秀賞、第40回放送文化基金賞優秀賞、『哲子の部屋』で第31回ATP賞優秀賞、『Dr.MITSUYA』で米国際フィルム・ビデオ祭 2016ドキュメンタリー部門シルバースクリーン賞、『Mr.トルネード』で科学ジャーナリスト賞2017、『えん罪弁護士』で第54回ギャラクシー賞選奨などを受賞。書籍では『辞書になった男』(文藝春秋)で第62回日本エッセイストクラブ賞、『神は背番号に宿る』(新潮社)で第28回ミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。最新刊は『Mr.トルネード』(文藝春秋)。詳しくはインタビュー記事「『辞書』から『えん罪』まで ドキュメンタリー界の“異端児”佐々木健一とは何者か?」 「ベッキーの『勘』、清水富美加の『才』 異能のテレビマンを驚かせた『ふたりの天性』」 を参照。

弁護士の今村核さんを取材 有罪率99.9%日本の刑事裁判、無罪判決を14件も獲得してきた異色の凄腕弁護士 撮影中の危機「合わせ鏡論」 

以下記事転載

「えん罪弁護士」撮影中の危機をどう切り抜けた? - 日経トレンディネット

連載佐々木健一「TVクリエイターのミカタ!」

 

ビジネスにも役立つ取材の基本! 「合わせ鏡」論

TVクリエイターのミカタ(8)

2017年07月31日

「えん罪弁護士」撮影中の危機をどう切り抜けた?

 同様に、もし相手の本音を引き出したいなら、まずは自分が本音で語らなければならない。昨年、私は『ブレイブ 勇敢なる者』というシリーズの第二弾「えん罪弁護士」で、弁護士の今村核さんを取材した。放送を見た人から「よく、あんな先生を取材できたね~」と声をかけられた。今村先生が一見、気難しい偏屈者に見えたからだろう。

 今村先生は、有罪率99.9%といわれる日本の刑事裁判で、これまでに無罪判決を14件も獲得してきた異色の凄腕弁護士だ。しかし、今までにこうしたドキュメンタリー番組で密着取材を受けたことはなかった。

 撮影前に何度もお会いし、打ち解けた気でいたが、いざ撮影が始まると今村先生は慣れないカメラの前で終始、不機嫌な様子を隠さなかった。いつも現場を共にする相棒のカメラマンや音声さんも「このまま撮影が終わるんじゃないか」とヒヤヒヤし、戸惑っていた。こういうとき、ディレクターである自分も不安になると、その気持ちは被写体である今村先生にも伝わり、事態はどんどん悪化する。人間関係と同じで、相手のことを信用できなくなったら、相手も自分のことを信用しなくなるのだ。

 私はそのとき、どうだったかというと、それなりに年齢や経験を重ねたせいなのか、自分でも不思議なほど焦りを感じていなかった。「今村先生は、絶対にこの番組の取材を途中で投げ出したりはしない」と信じ切っていた。

 撮影が始まって数日後、ある現場まで今村先生とともに車で3時間ほどの道程を移動することになった。その間、カメラは回っていないが、じっくりと今村先生と話し込んだ。普段はこちらが質問するばかりだが、この移動中は終始、今村先生の問いかけに私が答えていた。自分がどういう人間で、普段、どんなことを考えて過ごしているかを話したように思う。今回の番組とは直接、関係のない話のほうが多かっただろう。それ以後、撮影は順調に進んだ。そして撮影最終日、今村先生は、それまで内に秘めていた自身の孤独感や絶望感をカメラの前で語ってくれた。私は、濃密な撮影期間を振り返って、改めて感じた。

「問われているのは、やはり“自分”のほうなのだ」

「合わせ鏡論」から言えば、何か番組がうまくいかないとき、問題の多くは相手側ではなく、自分の側にあるのだ。準備が足りていなかったり、相手に自分が何者なのかをきちんと伝えていなかったりすることなどが原因なのだ。つまり、失敗の原因はいつも、ほぼ自分側にあるのである。

 この「合わせ鏡論」は、あらゆるビジネスの世界にも通ずる概念だと思う。交渉やプロジェクトを進めるとき、まずは自分たちがどうなのか、準備は十分か、理念は間違っていないか、などが問われるべきなのだ。

佐々木 健一(ささき・けんいち)

1977年、札幌生まれ。早大卒業後、NHKエデュケーショナル入社。ディレクターとして『ブレイブ 勇敢なる者』シリーズ(NHK)、『ヒューマン・コード』(フジテレビ)などの特別番組を企画・制作。『ケンボー先生と山田先生』で第30回ATP賞最優秀賞、第40回放送文化基金賞優秀賞、『哲子の部屋』で第31回ATP賞優秀賞、『Dr.MITSUYA』で米国際フィルム・ビデオ祭 2016ドキュメンタリー部門シルバースクリーン賞、『Mr.トルネード』で科学ジャーナリスト賞2017、『えん罪弁護士』で第54回ギャラクシー賞選奨などを受賞。書籍では『辞書になった男』(文藝春秋)で第62回日本エッセイストクラブ賞、『神は背番号に宿る』(新潮社)で第28回ミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。最新刊は『Mr.トルネード』(文藝春秋)。詳しくはインタビュー記事「『辞書』から『えん罪』まで ドキュメンタリー界の“異端児”佐々木健一とは何者か?」 「ベッキーの『勘』、清水富美加の『才』 異能のテレビマンを驚かせた『ふたりの天性』」 を参照。

BS1スペシャル「ブレイブ 勇敢なる者 えん罪弁護士・今村核」が完全版で再放送!

以下記事転載

http://xn--68jq6k1a3xsa3e9dse1a7089l92raxj9fja449v.xyz/nhk%E3%83%89%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%AA%E3%83%BC/%E4%BB%8A%E6%9D%91%E6%A0%B8_%E3%83%96%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%96_%E3%81%88%E3%82%93%E7%BD%AA%E5%BC%81%E8%AD%B7%E5%A3%AB_%E5%86%8D%E6%94%BE%E9%80%81/

BS1スペシャル「ブレイブ 勇敢なる者 えん罪弁護士・今村核」が完全版で再放送!

time 2018/04/15

BS1スペシャル「ブレイブ 勇敢なる者 えん罪弁護士・今村核」が完全版で再放送!

BS1スペシャル「ブレイブ 勇敢なる者“えん罪弁護士”完全版」

放送 2018年4月15日(日)午後10時~(100分)[BS1

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番組内容

「無罪14件」。その実績に他の弁護士は「異常な数字」と舌を巻きます。“えん罪弁護士”の異名を持つ今村核(いまむら かく)は、20年以上も刑事弁護の世界で闘ってきました。過去に取り組んだ事件では、通常裁判の何倍もの労力をかけ科学的事実を立証し、えん罪被害者を救ってきたのです。勝てる見込みも少なく、報酬もわずかな「えん罪弁護」。それなのになぜ、今村は続けるのでしょうか?自身の苦悩を乗り越え、苦難の道を歩み続ける男に迫ります。

この番組は、2016年11月28日、同12月20日に放送され大反響を呼んだブレイブ『えん罪弁護士』(前編・後編)を未放送映像や知られざるエピソードを大幅に加えて再構成した完全版です。

日本の刑事事件裁判は、有罪率99.9%と言われています。つまり、無罪は1000件に1件、あるかないか。今村核弁護士は、そんな有罪率99.9%の壁に挑み続けているのです。引き受けてきた案件は、世間ではあまり知られていない事件ばかりです。2000年3月に起きた放火事件で犯人と疑われたのは出火元の店主でした。真実を明らかにするために自ら行った火災実験。その費用は、カンパで賄ったそうです。

信念を持って挑み続ける弁護士・今村核。その生き方に迫る100分完全版です。

 

番組スタッフのコメント

2016年11月にNHK総合で放送された『ブレイブ 勇敢なる者』の第二弾「えん罪弁護士」は、予想をはるかに超える大きな反響をいただきました。このホームページにお寄せいただいた再放送リクエストは3000件を越え、250件近い感想レビューもいただき、年間でも最上位の数字でした。日々、さまざまな番組が放送される中で「えん罪弁護士」をご覧いただいた方はおそらく「この番組を見よう」と決めていたわけではなく、「たまたまNHKにチャンネルを合わせていたら見てしまった」という方が多かったかもしれません。

世界を変えた知られざる日本人に迫る『ブレイブ 勇敢なる者』は、不定期放送のドキュメンタリーシリーズです。大型番組や注目の新番組に比べて事前のPRも少ない中、「たまたま見た」という多くの方からこれほど熱い反応をいただき、とても有り難く、光栄に感じました。

そしてこの度、『BS1スペシャル』枠で前・後編100分間にわたる「えん罪弁護士・完全版」を放送することとなりました。泣く泣くカットした未放送映像や知られざるエピソードを大幅に加えて再構成しています。前回の放送を見ていても、新鮮な驚きがある内容だと思います。

50分版をご覧になっている方は、番組中盤で今村核弁護士が不快感をあらわにしたシーンを覚えていると思います。きっかけは、私が発した質問「先生の専門(領域)って何ですか?」でした。私は今村先生が自らの専門を「刑事弁護」あるいは「えん罪弁護」と答えると思い、あえてその質問を投げかけました。なぜなら、私の目の前にいるのは“有罪率99.9%”の日本で、これまでに「無罪14件」という驚異的な実績を築いてきた弁護士なのです。しかし、今村先生は突如、「もう答えたくない…」と言って苦悶の表情を浮かべました。なぜ、“えん罪弁護士”と呼ばれる男が、自らの専門分野を語りたがらないのか。その理由を、今回の100分・完全版ではより詳細に描いています。

法廷ドラマの場合、最大の見せ場は「弁護士がいかに被告人の無実を立証するか」です。しかし、これはあくまで架空のドラマの話。そもそも刑事裁判の原則は、「疑わしきは罰せず」です。立証責任があるのはあくまで検察側。検察が“有罪の立証”に失敗すれば、本来は無罪になるはずなのですが、現実には検察の立証の綻びを指摘するだけで無罪になることはまずありません。こうした現実に抗うため、今村先生はまるで法廷ドラマの主人公のように、徹底的に科学的な立証を積み重ね、自ら“無罪の立証”を行なうことで多くのえん罪を晴らしてきました。ところが、そうした手間のかかる立証活動を行えば行うほど、他の事件の弁護に手が回らなくなり、経済的に困窮していくこととなります。しかも、仮に0.1%の無罪判決を得られても、報酬はごく僅か。それ故、多くの弁護士がたとえ志があっても、刑事弁護を続けられないのです。

そうした中で、今村先生は20年以上も刑事弁護の世界に立ち続けてきました。人知れず、どんな苦悩を抱えてきたのか。そして今、どんな心境でいるのか。是非、今回の「完全版」を通して多くの方に知っていただきたいと願っています。

 

放送後のポイント解説

すし屋放火事件

2000年に都内で起きた寿司屋の火事事件で、店主が放火の容疑で起訴されました。その店主は閉店したいと考えていたこと、出火後に消火活動もせずに眺めていたこと、借金があったことなどから、放火の疑いをかけられたのです。そして、店主の妻にまで警察の手が及ぶことを避けるために、やってもいない放火を自白してしまったのです。店主は、その自白の中で、放火場所はお店の2階だと供述しました。しかし、消防は、出火場所は1階であると判定し、自白との食い違いが生じました。しかし、検察は2階の床板の下の梁(はり)に使われている木材の上部の角が焼け焦げていることを理由に、2階でも出火したという鑑定書を出してきたのです。

今村弁護士は、現場写真から床板と梁の間に隙間があり、その場合には1階からの出火でも梁の上部が焼け焦げることを火災実験まで行って照明したのです。この実験にかかった費用は募金で集めました。その結果、判決は無罪となりました。しかし、事件から無罪判決まで3年半の時間を要していました。

中学教師による置換冤罪事件

2012年に中学教師が路線バス内で女子高生に痴漢行為を行ったとして起訴されました。痴漢事件では、やっていなくても自白して示談が成立すれば略式起訴となってしまうことから、表に出ていない冤罪事件が多いと言われています。しかし、この教師は無実を訴え続けて今村弁護士に助けを求めたのです。

今村弁護士は、車載カメラの映像と携帯の送信メールの履歴から、教師の無実を証明したにもかかわらず、一審判決は有罪となってしまいます。これを受けて、ツイッターでは裁判官の判決に対して非難が殺到したそうです。そして、二審では無罪を勝ち取りますが、事件から1年半が経過していました。

 

どうして冤罪事件が起きるのか?

ある司法論文によると、アメリカの刑事訴訟裁判は有罪か無罪かを決める所ですが、日本の裁判は有罪を確認する所となっていると言うのです。本来的には、検察側によって被告人が有罪であることを立証する必要があるはずですが、実際には弁護側が無罪を立証しなくてはならなくなっているのです。

この現実に直面した今村核さんは、弱者に手を差し伸べたいと思ったのでしょう。

どうして「えん罪事件」ばかり担当するのか?

今村核さんは、大手化学メーカーの副社長である父との確執があったようです。父は、弱者に対する視点がなく、大企業中心の考え方をしていたことが、今村核さんにとって受け入れられなかったのでしょう。そして、父とは違った生き方、つまり、社会の中で弱くさせられている人たちと共に闘う仕事がしたいと考えて弁護士への道を選んだのです。

東京大学の学生時代には、法律相談のボランティアサークルの活動をして、困っている人のために奔走していました。父とは違う道を行きたい、敢えてエリートコースから道を外れたかったと言います。そして、東京大学に入学して7年目に司法試験に合格し、弁護士となりました。

現在は都内の弁護士事務所に所属しています。労務や民事の案件が大半を占める中で、今村弁護士だけが刑事事件を担当しています。冤罪事件で無罪を勝ち取ることはたいへんな労力がかかり、そればかりやっていたのでは経済的に生きてゆけないと言われていますが、25人の事務所だから成り立っているのだと同僚の弁護士は言います。

今村弁護士の父は、後年、弁護士になって事務所を開いていたそうです。もともと、資格は持っていたそうですが・・・。きっと、父として今村核さんのことを理解したかったのではないでしょうか。

 

今村核のプロフィール

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東京大学法学部卒
司法修習44期
1992年弁護士登録
第二東京弁護士会

趣味

将棋、生物学、生理学、生化学、認知心理学等の人間科学、情報科学等のリテラシーを学ぶこと

主な活動

日本弁護士連合会全国冤罪事件弁護団協議会座長
法と心理学会 理事

今村核の主な著書

冤罪と裁判 (講談社現代新書) [ 今村核 ]


冤罪と裁判 (講談社現代新書) [ 今村核 ]

日本の刑事裁判は有罪率99.9パーセント。なぜ冤罪は起きるのか?裁判員制度でどう変わったのか?冤罪弁護士が語る真実。

日本の刑事裁判は、じつは世の中の水準からみると、いろいろと遅れたところがある。起訴された事件の有罪率は99.9パーセントと驚くほど高いが、有罪とされた元被告人のなかに無実の人々がかなり含まれているのではないか、というのが私の心の奥底からの関心事であるーー〈「はじめに」より〉

【目次】
第1部 冤罪はこうして生まれるー冤罪の事件簿(虚偽自白/目撃者の証言/偽証/物証と科学鑑定/情況証拠)/第2部 裁判員制度で冤罪を減らせるか(日本の刑事裁判の特色/裁判員制度の導入で、日本の刑事裁判の特色は変わりつつあるか/判決文を通して、裁判員裁判の特色を読み解く/冤罪・誤判防止のために、裁判員制度はどう変わるべきか)

日本版「司法取引」を問う [ 白取祐司 ](旬報社2015、共編著)


日本版「司法取引」を問う [ 白取祐司 ]

刑事司法改革の原点は冤罪を防止することにあったはず…。いま、新たに導入されようとしている日本版「司法取引」制度は、冤罪を生む構造的な危険性をはらんだ制度であることを正確に捉えなければならない。その制度化の是非も含めて、もう一度徹底した議論が必要ではないだろうかー。

【目次】
第1章 日本版「司法取引」制度とは何か(日本版「司法取引」の特徴/「司法取引」制度導入へ向けての動き/法制審特別部会ー「司法取引」制度の具体化/もう一度徹底した論議を)/第2章 日本の「闇取引」(他人の罪を明らかにし、自分の罪を軽くする司法取引とは/真犯人が無実の者を巻き込むケースー「共犯型」1/共犯者自身も無実の場合ー「共犯型」2/同房者の供述ー「他人型」2/「虚偽供述罪」の導入は冤罪を抑止するか/弁護人の同意は冤罪を防ぐことができるか/「取引を明るみに出す」結果となるのか)/第3章 海外の司法取引制度とその運用(アメリカ/ドイツ/フランス)

『冤罪弁護士』(旬報社、2008年)

『続・痴漢冤罪の弁護』(現代人文社、2009年、共編著)

シリーズ刑事司法を考える第1巻『供述をめぐる問題』
岩波書店2017、執筆分担「間違った目撃・被害者供述はどのように生じるか」)